人気ブログランキング | 話題のタグを見る

植野稔の自然遊悠学 イワナだ! ヤマメだ! 山菜だ! きのこだ!!

yuyugaku.exblog.jp
ブログトップ
2009年 07月 05日

662 イワナ遥かなり

単独行で越後の源流釣り
■遥か源流に棲むイワナのいざない
「イワナがいればどこまでも」
こんなスローガンを掲げて、日本全土にいるイワナを今でも追っかけ続けている。
イワナに対する執念、それは並々ならぬ決意で望んでいる。
私自身にある経済手的理由があり、数年間、満足できる源流行は果たせないでいた。
「イワナ釣り師」のなりの果ては相場が決まっていて、野たれ死にしか道はない。
一度、イワナに惚れこんでしまえば、イワナ中心にことが進行、社会的地位は勿論、経済的にも恵まれない立場にあるといえる。
イワナ釣りとは4月から9月いっぱい釣行が可能であるけれど、私の好きな源流イワナ場調査となると、6月から9月までの4ヶ月しか山行きはできない。
その源流釣行ができる期間に、自分自身の全精力を傾注しなければ目的は達成できない。
イワナ優先に日程を組めば、当然一般社会人のようなサラリーマン生活はできない。
社会、世間にあるすべてのしがらみを破棄、暖かいであろう家庭生活だって営むことは許されない。
これがひたすら「岩魚道」を極めるための単独源流イワナ釣り師に与えられた狭い入門砦必須条件なのだ。
イワナという渓魚を知り、イワナマニア道を歩んで50年余の歳月が過ぎようとしている。
イワナへのひたむきな情熱がある限り、私は徹底的にイワナを追い続ける覚悟はできている。
私を知らぬイワナがいる限り、未知なるイワナ渓へ源流釣行を果てしなく続行していく。

■越後へのイワナ旅
山梨、群馬、栃木といえば、日本における三大渓流イワナマニアたちがたむろしている。
イワナ釣り入門時代、足腰達者なイワナ釣り猛者がいた三大渓流メッカ県の中で、特に群馬イワナ集団の存在があった。
パーティーだから怖いもの知らず、ゴルジュ、廊下、滝など問題にせず突破、私のライバルとなり、北へイワナを求めて釣行を重ねていた。
群馬県から越後入りはたやすく、奥只見、三国川、清津川など越後の渓流イワナ場は彼らの開拓調査実績は見逃せない。
その影響があって、私の越後イワナ旅は下田山地以外、さほどのイワナ釣行はない。
それから30年後、群馬の猛者は如何なるイワナ旅をやっているか、私の知らぬことである。
未だに現役でイワナを釣っているとは考えにくい。
年齢は70歳をとっくに過ぎているだろう。
ほとぼりが冷めたであろう今、再び越後の渓を歩くことにした。

■7月3日  天候 晴れ、夕方雨
北西に守門岳、南東に浅草岳の狭間にある長流が今日の遡行渓である。
以前はなかったダム湖、二車線舗装道路、ダム保証金による新築民家、宿など見新しい建物に戸惑いを隠せない。
かつて会津から越後に抜ける「八十里越街道」を登山したことがある。
若かりし頃はさほどのイワナ執念はなく、眼下に広がるブナ原始林下に流れている本流部に興味はなかった。
印象に残る烏帽子岳の越後山地らしい、残雪を抱くアルペン的な山風景に感動した覚えがある。

本流上流へ導かれるにある通行止めゲートから徒歩になる。
携帯時計は6時15分、本流徒歩開始地点最終堰堤、着。休むことなく出発。
平凡な河原ながら右岸渓際の側壁は雪崩の影響でスラブ状になっている。
豪雪地域らしく残雪があり、当地の渓風景をかもし出している。
ゴーロ徒渉のたび小イワナがはしるが、釣り人の足跡があるから大物はいない。
まもなく小滝のある10メートルゴルジュをヘズリで抜ければ再び谷はゴーロ渓なる。
以遠を地元で「長三郎の長瀬」といって、うんざりする平瀬歩きだ。

帰路に使う田代沢を確認、目印をつける。

地形図に記載されている、黒姫(1367.8メートル)から流下する高禿岩を従えた、高禿沢を見送る。
山頂下の岩壁は垂直で見事な東壁になっている。

8時30分、左岸ブナ平らにテントを設営、アタックザックから開放、ほっとする。
立ったまま遅い朝食の握り飯をほうばり、空腹を満たす。

8時35分、アタックザックに毛ばり釣りセット、昼ごはんを用意してから魚止めに向かう。
ここから私の未知なるイワナ渓なので期待が膨らむ。
今日中にテン場まで戻らなければいけないので、イワナ釣りはマス止め滝からにする。

テン場から右岸、左岸からの小沢を過ぎれば、残雪を抱いた烏帽子岳が迫ってくる。
しかし期待していたほど高度は上がらず、平凡なゴーロ歩きを終始させられる。
じもとでこの渓を平石川と呼ばれている理由がここでも証明されているようだ。

左岸から烏帽子沢が3メートル滝で出合う。
まもなく大釜を持つ多段滝、マス止め滝となる。
すかさず毛ばりを結んで待望の釣り開始。
一投目で7寸イワナが飛びつく。
大淵にしては小型イワナしか反応はない。
この淵で3尾出たが、イワナは再放流。

マス止め滝から本格的なイワナ渓となり、源流イワナ釣りらしい雰囲気をかもし出しているのが嬉しい。
私の上手とはいえない毛ばり釣りでも、白と薄茶斑毛ばりによく反応してくれるイワナに感謝する。
願わくば尺イワナの登場に期待してしまう。
さすがは奥地らしく、渓のあちこちにシシウド、あるいはアマニュウを食ったツキノワグマの痕跡がある。
このとき、野生テンが上流をうねるように飛び去っていく。
上空にはクマタカらしき猛禽類が滑空、登山道のない山地だから、当地に野生を垣間見ることができる、原始郷での源流イワナ釣りに満足する雰囲気がある。
イワナのいる右岸イシノ沢が出合う淵で尺イワナが反応、まんざらでもない心境だ。
このイワナは夕食用にキープ、はらわたを取って、新聞紙に包んでからザックに収める。

好物である沖縄黒糖、黒あめをザックから取り出して口にほうばる。
甘さが口中に広がり、渓歩きを和らいでくれる。
ほどなく奥二俣、魚止め滝はまもなくである。
右岸にウド発見。
7本ある中の3本を採集。、今夜の夕食のおかずが調達できた。

12時ちょうどに魚止めの滝に到着。
落差4メートル、釜があるので大物イワナを釣りたい。
仕掛けを点検、流れに毛ばりを打つ。

イワナは7寸クラスが2尾出た。
奥山魚止め滝で尺イワナが出ないのは珍しい。
ここが奥地ながら、渓歩きが易しく、これまでに何人かの魚止め釣りを体験させたのだろう。
だから大型イワナは出なかった。
これも奥山イワナ檀家がいる証であろう。
期待の大物イワナは釣り上げることができなかったが、私にとってイワナの魚止め滝を確認できたことに喜びを隠せない。















晴れから曇りとなった天候に追っかけながら、テン場に3時に着く。
EPIガスをセット、お湯を沸かしインスタントお茶をつくる。
ザックから、イワナ、ウドを取り出し、イワナは姿油焼き、残り出汁でウドを炒めれば夕食の準備は完了。
質素なおかずだが現地調達での食料調達はアタックザック軽減になり助かる。

早めの夕食を食べる。
久しぶりのイワナ油炒め、、奥山イワナらしい身の締まった美味さ、ウドの味噌炒めはきど味がなく素晴らしい味に仕上がりこれも美味い。
持参の玉子焼きと一緒に山の幸をいただきます。
やがて陽が沈み暗くなったので焚き火をすることなく眠りについた。

8時ごろからいやな雨がゴアテントを叩き始める。
明日は帰るだけだから、さほどの心配はなかろう。

7月4日  天気 雨
雨の中テントを撤収、帰路に着く。
下山中、昨日目印をつけた、田代沢を登る。
小滝の急登で田代湿原に到着。
トキソウが出迎えてくれるものの、雨ではどうにもならない。
木道を八十里越街道まで辿り、うんざりする雨の街道をゲートまで歩いた。

by yuyugaku-ueno | 2009-07-05 16:08 | 渓流釣行記


<< ウドの長期保存      661  明日のブログは休みます >>