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2008年 06月 26日

240 裏女峰の渓4滝沢釣行の想いで

鬼怒川右岸流域、悪絶極まる滝沢の遡行
■深沢について
ヤハズ、女峰山の北面を流下する、裏女峰の沢、唐沢、三沢、深沢、野門沢のなかで、最険悪な沢と知られている、深沢を遡行、その源流部、標高1800メートル地点にだけイワナが棲んでいる、情報を栗山村(現在は日光市)在住の高山義新氏であった。
昭和50年代、何かに憑かれるように、鬼怒川水系のイワナ釣りに熱中した。その成果はイワナ釣行記録として残っている。
また、地元、栗山では、地形図に記載されている、深沢の名前を滝沢と呼んでいた。
私も遡行を終えて、深沢というより、巨大な滝群をもつ峡谷として、滝沢としたほうが説明しやすいこともあり、地元の名である滝沢として、記録することにした。
■裏女峰開拓
昭和30年代、裏女峰の沢遡行を鹿沼山岳会の岳人たちによる完全遡行が成され、知られざる裏女峰の全貌が明らかになった。
当時、渓谷遡行はヒマラヤを目指す、アルピニストたちの岸壁アタックの訓練の場であり、各地方における沢遡行の夜明けでもあった。
鹿沼山岳会の渓谷支流の一部が、日本登山体系、全10巻の中に、地域研究として発表されている。
深沢遡行記録の中で、標高1800メートル奥地に、イワナが棲んでいる興味深い謎として、記されていることだった。
■イワナ棲息の謎、栗山村の猟師
かなり前から、栗山村では炭焼き、クマ猟、シカ猟、サンショウウオ漁、山菜・きのこ狩りがほぼ1年を通して盛んに行われていた。そんな猟師の中でも、余暇を利用して一部の猟師渓流たちにおける、イワナ釣りが実施されていた。
そのおかげて、これまでに魚止め滝でイワナが絶たれていた、魚止め以遠に渓魚を運び入れ、放流した。この事実が、現在イワナ棲息が認められている渓谷の説明を正解可能にしたのである。
特に、サンショウウオ漁における栗山村での活躍ぶりは凄まじく、桧枝岐、湯西川、中三依で行われていた、サンショウウオ漁の伝播発祥の地として、彼ら猟師たちの誇りでもあった。
また猟師たちのあいだで、猟場の一子相伝があり、各家庭における沢割りの掟を守り、自分の猟場管理が行われていた。
滝沢を例にとると、高山氏の先代、高山仁助氏のテリトリーであるから、イワナ釣りが好きだった関係で、自分の生活の場所にイワナを放流したのである。
おそらく山猟における泊りがけ猟では、タンパク源にイワナを求め、ご飯のオカズにしたのだということが、推察できる。
以上の話は、高山義新氏から聞いて記録しておいた資料をもとに、書き及んだ次第です。
■私と裏女峰
鹿沼山岳会から遅れること20年。昭和50年代の前半、当地をアマチアのイワナ釣り師として、イワナ調査に入った。
そのなかで、イワナ釣り場における、抜群に困難を伴った沢が、滝沢遡行だった。
残り3本の唐沢、三沢、野門沢の印象はだいぶ薄れ、記憶の途切れたも沢もあった。今度の再調査における新鮮さは、まるで新しい沢遡行のようであったのには、思わず苦笑してしまった。
■昭和54年5月22日の釣行記録をたどってみたい。
なぜ、遡行再調査をしないのかは、渓が悪く、同じ悪戦苦闘の再現に二の足を踏んだ個人的理由による。
あしからずご了解ください。
最初に申し上げる。イワナ欲で釣行しても、さほどの成果は期待できない。
また、鹿沼山岳会による昭和30年代の遡行記録と昭和50年代の私に記録では、多少の差があり、理由は不明ながら、今回は私の記録を優先することにした。
さらに、私の遡行記録から、30年後近く経過しているので、現在の滝沢とでは、かなり相違点があるのではないかと想像する。
■遡行のポイント1
出合からいきなりゴルジュになる。
小滝の連続しているゴルジュ。
■遡行のポイント2
堰堤を高巻く。
■遡行のポイント3
7メートル滝がでてくる。
鹿沼山岳会記録では10メートル。
■遡行のポイント4
地図にある左岸、下滝沢をこえれば、10メートル滝。
■遡行のポイント5
2段25メートル、15メートル、60メートルと滝が連続する。
滝沢突破最大の難所。
私の記録では、高巻きに2時間かかっている。
■遡行のポイント6
空滝15メートル。
鹿沼山岳会記録では35メートルとある。
ここまで遡行、5時間。
ここには渓水は皆無で、伏流しているようだ。
一瞬、沢が消え、静まり、不気味な景観になる。
■遡行のポイント7
岸壁から水が吹き出ている滝、15メートル。
鹿沼山岳会記録では30メートルでこの滝も下部の滝同様、渓水はないと記録されていたが、私の記録では滝岩壁から水が出ていた。
ポイント7からの滝沢、次第に渓水が復活、高山氏の話では、こと地点に親父がイワナを放流したと教えられた釣り場。
しかし、魚止めまで、イワナは一匹もいなかった。
この点、鹿沼山岳会ではこの場所にイワナを確認している。
私の遡行では確かにイワナはいなかった。
■遡行のポイント8
魚止めの滝。
地形図の水線が切れる、標高1800メートル地点に奥二俣があり、現在の魚止めだ。
鹿沼山岳会記録では、下石室殿沢が左俣沢、本流の滝沢が右俣沢。
二つの出合に魚止めがあり、昭和54年当時の私の釣行では、滝壺で51センチメートルのイワナを釣り上げた。
魚止めまでの遡行時間は、8時間。
帰路は川通しで6時間から7時間かかる長丁場である。
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by yuyugaku-ueno | 2008-06-26 15:24 | 渓流釣行記


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