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植野稔の自然遊悠学 イワナだ! ヤマメだ! 山菜だ! きのこだ!!

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2008年 03月 04日

78 マツタケ

 マツタケ<キシメジ科キシメジ属>

マツタケのあらすじ
 平安の時代から雅を表現するのに欠かせない、最高級きのこ一品といえばマツタケだ。古(いにしえ)から受け継がれた、伝承のマツタケ料理は今も健在。日本人なら「ワンシーズン一度は食したい」と願いを込めてマツタケ狩りに挑戦したい。樹種による地方名はあるが、マツタケといって全国に通用する唯一のきのこ。まさにきのこの王様にふさわしい、王者の貫禄を遺憾なく発揮している。

地方名あるいは愛称
 発生する樹種による名称としてツガマツタケ、エゾマツタケ(北海道)、シオマツタケ(宮城県松島)、ハイマツタケ(北海道)。発生する時期によるツユマツタケ、ドヨウマツタケ。形から、つぼみ、半開き、開きの名がある。

発生時期
 夏(ドヨウマツタケ)~秋。ときには梅雨(ツユマツタケ)に発生することがある。

自生地
 アカマツ林、高山のコメツガ、ツガ、シラビソ、オオシラビソ、アカエゾマツ、トドマツ、ハイマツなどの針葉樹林に点々とあるいはリング状(菌輪)に列をなして生(は)える。

菌類名 
 菌根菌。

特徴と鑑定法 
 傘は幼菌では半円形、生長すると扁平に開く。傘の径3~30㎝、表面の色は黄褐色、ササクレと繊維紋がある。傘肉色は白。
ヒダは緻密で白色、柄に湾生。
 柄の径2~15㎝、長さ5~30㎝、綿毛状のツバがある。柄は充実。採集時には全体が白っぽい、時間がたつとやや黒っぽくなる。

胞子紋
 白。
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採り方
 きのこの根元に木ヘラを差し込み、きのこを掘り起こす。きのこが採れたら、石つきに付いている土をきのこ穴に入れ、埋め戻しをしてから、マツ葉を元通りに直しておく。

下ごしらえ 
 石つきの細かい土はボウルに水をいれ、爪先で土を丁寧に削り取る。きれいになったらきのこ全体を手早く洗う。直ぐに乾いた布巾にとり、水気を拭き、キッチンペーパーの上におく。

保存 
 1 マツタケは後日の料理に合わせた大きさに整え、サランラップできのこを包み、ジッパーの付いている保存ナイロン袋(フリーザーバック)にいれて冷凍する。
 2 下ごしらえしたきのこをラップで包み、フリーザーバックで冷蔵保存。10日間を目安に使い切る。
 3 マツタケ薬酒にすれば長期保存できる。

料理 
 ヨーロッパ特にフランスやイタリヤで、生きている宝石と呼ばれている“トリフ”は特有の香りが好まれるらしい。日本人にとって、石灰岩質のカシ林の土中に埋まっている、黒い塊のきのこは見た目も悪そうだ。食欲をそそる気はおこらない。(私は食べたことはない)
 トリフに比べ、きのこから伝わる風格、爽やかな香り、歯応え、美味な味。どれをみても超一級の日本マツタケは希少価値も手伝い、卸値で1キロ(7~10本)7万円時代になり庶民にとってマツタケは高嶺の華になった。
 日本民族は万葉の頃から今日まで、マツタケ好きは変わらず、秋の味覚を求めて一年に一回ぐらいは“ほんまもん”きのこの王様、国産マツタケ料理を楽しみたいものである。

網焼き
 マツタケの香りを丸ごといただく。
 1 七輪に備長炭をおこす。
 2 炭がおきたら、中火の遠火の位置に網をおく。
 3 下ごしらえしたマツタケは石づきのほうから、大は四等分、中と小は二等分に両手で裂く。
 4 きのこの外側を軽くあぶる程度に焼く。焼き加減はきのこに水分が出てきたら、焼きあがり。
 5 器に4を盛りつけ、醤油をつけて熱々を食べる。すだちをマツタケにかけても美味い。
 ※ マツタケは焦がさないように焼く。

ホイル包み焼き
 マツタケの香り、味を封じ込め、きのこのすべてを食べる。
 1 下ごしらえしたマツタケは石づきのほうから、食べやすい大きさに両手で裂く。
 2 アルミホイルを30㎝に切り、二枚重ねる。
 3 2にきのこを入れ、酒、醤油をふりかけホイルを包む。
 4 蒸し器の蒸気があがったら、3を並べて5~8分間、蒸し上げる。
 5 器に5を盛りつけ、好みですだちを振りかけても良い。

マツタケ酒
 マツタケの香りを日本酒にのせて飲む。酒党にはたまらない魅力を持つ。
 1 つぼみマツタケを丸ごと直火で軽くあぶる。
 2 好みで甘口あるいは辛口の日本酒を熱燗に温める。
 3 器に2を注ぎ、焼きたてマツタケ1を入れて、数分おいて飲む。
 ※ マツタケは焦がさないように焼くのがコツ。

土瓶蒸し
 マツタケの香りを出汁に移して、マツタケ汁をいただく。
 1 下ごしらえしたマツタケは食べやすい大きさに手で裂いて、軽く焼く。(焦がさないように)
 2 ミツバは水洗いして水切り、糸結びにする。
 3 ギンナンは茹で上げておく。
 4 鶏肉は湯くぐし、水切り、醤油を振りかける。
 5 一番出汁を作り、醤油、塩で調味する。(清し汁の要領で)
 6 土瓶に5を入れ、弱火にかける。
 7 土瓶の汁が温まったらマツタケ、ギンナン、鶏肉を加え再調味、弱火で煮る。(蓋はしない)
 8 7が煮えたら、ミツバを加え、蓋をする。
 9 蓋の上に猪口を載せ、カボスを添える。
 ※大人数のとき土瓶に換えて、どなべで料理して良い。

特選お勧め、マツタケご飯
 マツタケの香りをご飯にのせて食べる。 
 4人分
 1 米をといで、ザルに上げておく。
 2 昆布の出汁を作る。
 3 下ごしらえしたマツタケ3本は手で裂いておく。
 4 炊飯器に米3合、昆布出汁3合弱を入れ、薄口醤油大さじ3、酒大さじ3、3を加え軽く掻きまわす。 
 5 4を炊き上げて、15分ぐらい蒸らす。
 ※ マツタケが少ない場合、刻んでもよい。
 ※ 昆布出汁を入れずに、直に昆布を入れて炊く場合は途中で昆布を取り出す。

孤軍奮闘記
 アカマツとマツタケ菌根菌の関係を共生と呼んでいる。そのいきさつとは、アカマツが生長する過程で細根に絡みついたマツタケの菌糸が、土の中にいる害敵菌類からアカマツの根を攻撃、侵入されるのを防ぐ、水、リンを吸い上げアカマツに与える。そのお返しに、アカマツの養分をいただく。つまり、お互いに助け合いながら生活している。
 マツタケのマツ科における菌根菌は多種に及び、目指す奥会津只見地区の岩稜にキタゴヨウマツが自生している。マツタケ狩りといえば、アカマツ林と相場が決まっている。しかし、岩壁帯を岩から岩へノーザイルで登る、フリークライミング的マツタケ採りも面白く、年甲斐もなく岩山へ挑戦中だ。


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by yuyugaku-ueno | 2008-03-04 08:37 | きのこ図鑑


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