カテゴリ:きのこ図鑑( 7 )


2008年 03月 08日

102 ムキタケ

ムキタケ<キシメジ科ワサビタケ属>


ムキタケのあらすじ
 ナメコ、クリタケと同じ晩秋に発生のピークを迎える、ムキタケ。主にコナラ、ミズナラの倒木、枯死木を求めるトレッキングになる。
採集後に料理、その淡白であらゆるきのこ一品料理に使える優れた名菌だ。

地方名あるいは愛称
 カワハギキノコ。カワムキ。ノドヤケ。ノドヤキ。スベラワカイ。モツキノコ。シナモタシ。カタハ。

発生時期
 10〜11月。

自生地
 コナラ、ブナ、ミズナラなどの広葉樹の倒木、立枯れ木、伐採根などに群生。

展示菌類名
 木材腐朽菌。

特徴と鑑定法
 きのこ傘は半円形で表面の皮は剥がれやすく、樹皮に重なって発生する。
 傘の径3〜20㎝、厚さ1〜2㎝。傘の色は淡黄色で、緑、紫、黒褐色を帯びることもあり、弱い粘性を生じる。傘肉は白色。
 ヒダは緻密で白色、柄に垂生する。
 柄は極短、太く材につく。
d0134473_22242361.jpg


胞子紋 
 白。

採り方
 樹皮を剥がさないように、きのこを手で上下に動かしながら採る。

下ごしらえ 
 塩入りの水にきのこを晒し、虫(白いショウジョウバエ幼虫)だし。柄の部分をV字状にハサミで切る。

保存方法
 1 ムキタケを軽く茹であげ、冷めたら塩漬け保存。
 2 ムキタケを軽く茹であげ、冷めたら茹で汁を入れて、冷凍保存。
 3 ムキタケを天日で干しあげ、乾燥保存。

料理 
 表面の皮をむくと、上品な料理に仕上がる。一般には皮むきは不要。
 クセのない独特のゼラチン質が喉ごしを滑らかにする万能きのこだから、あらゆる料理に合う。

大根おろし和え 
 柔らかいムキタケに醤油の香りをのせていただく。
 1 下ごしらえのムキタケを熱湯で軽く茹でる。 
 2 1を水につけて皮をむき、食べやすい大きさに手で裂き、水切り。
 3 醤油に2を含ませておく。
 4 食べる寸前に大根おろしと和える。
 5 器に4を盛りつけ。糸かつお節を天盛り。

バター炒め
 淡白きのこにター味をのせて、風味を加えていただく。
 1 鍋を火にかけ、バターを入れる。
 2 下ごしらえしたムキタケを食べやすい大きさに手で裂き、1に加え、塩、コショウで調味する。
 3 器に2を盛りつけ、刻みノリを天盛り。

特選お勧め、網焼き
 素朴なムキタケを醤油味でいただく。
 1 七輪に炭火をおこす。
 2 流水でムキタケ洗い、軽く搾り、食べやすい大きさに切る。
 3 ヒダを上にして、遠火の強火で網焼き。
 4 きのこに水分がでたら、焼きあがり。
 5 器に4を盛りつけ、醤油を数滴たらし、熱々をいただく。

清し汁
 日本料理の原点、汁物の奥義を探ることに挑戦する。
 1 きのこを水にひたす。
 2 鍋に1の全量を入れ、弱火にかける。
 3 きのこ出汁の味を確かめ、塩(少々)、醤油(数滴)を加える。
 4 器に3を盛りつけ、熱々をいただく。

味噌汁
 味噌の風味、きのこの出汁を合わせた味覚を楽しむ。
 1 鍋に水を入れ弱火にかけ、きのこを加える。
 2 きのこ出汁を確認し、味噌を溶いて味を整える。
 3 器に2を盛りつけ、刻みネギを天盛り。

ゴマ和え・じんだ和え・白和え・醤油マヨネーズ和え。
 和え物の具に使う。

孤軍奮闘記
 ナメコと同じく晩秋に発生する、奥山きのこがムキタケである。このきのこはナメコ採りでの最中で収穫できる安易さながら、味番付はトップクラスだ。

日帰りきのこ狩りでのナメコ目的でもムキタケが目にはいり、両者が豊作の年が重なることが多い。すでにナメコはザックに満杯、それでもムキタケは出ている。こんなとき、ムキタケを採るのか、採らないのか二者択一に迫われる。究極の選択に迷い、結局ムキタケを採集した結果、きのこの重みが肩に食い込み、その重量に耐えながら、山道をしどろもどろな状態で歩いた苦い経験があった。

きのこ狩りは獲物を発見、収穫するときが至福そのものだ。この一連の動作を実行する際、当然ながら、きのこを直に触れることになる。これまでに、数多いきのことの出合いがあった。処女きのこといえる、初めての対面も印象に残り良かろう。

更に、もう一つ、きのこに触れた瞬間、“冷たく柔らかい”感じの伝わる、きのこ特有の手触れ感が採集ムキタケにあり、それがたまらない魅力になっている。“ひんやり感”は多分、晩秋きのこの発生する気温のせいであろう。柔らかく感じるのはゼラチン層を持っているムキタケだから、感触が良く体験できて初めてムキタケというきのこを脳裏に記憶できる。だから、ムキタケ料理には和えものと、きのこのイメージが似合うのである。

■『植野稔のホームページ』をどうぞ。
[PR]

by yuyugaku-ueno | 2008-03-08 08:28 | きのこ図鑑
2008年 03月 07日

96 ブナハリタケ

 
ブナハリタケ<エゾハリタケ科ブナハリタケ属>

ブナハリタケのあらすじ
 ブナハリタケの持つ強烈極まる香りは、他きのこの追従を許さない個性あるきのこだ。一度味あえば忘れられない味覚を楽しめる。また、採集地が奥山だから、山地ブナ帯トレッキングを同時に遊べるよさを持っている。
きのこ狩りにおける人気急上昇中。

地方名あるいは愛称 
 カヌカ、ブナカヌカ、ブナワカイ、トゲカヌカ。

発生時期
 秋。9~10月上旬。

自生地
 ブナ帯のブナ倒木、立枯れに株状に重なり合って群生する。

菌類名 
 木材腐朽菌。

特徴と鑑定法 
 傘は半円形から扇形、寄生木に着生、3~10㎝きのこが重なり合い、吸水性を持つ。
 傘の裏には5~10mmの針状の突起がある。色は表裏ともに白。肉質は白。
 老菌になるとクリーム色になり、黄色の液状汁を生ずる。
 茎はない。

胞子紋
 白。
d0134473_10424031.jpg


採り方
 重なり合った株ごとに、根を揺する要領で樹皮を傷めないように、丁寧に剥がす。持ちかえりには、新聞紙で包む。
 雨上がりでは水分を含んでいる。この場合、軽くきのこを搾ることになるが、味はおちるといわれている。

下ごしらえ 
 きのこを塩水に晒し、虫だし。石づきの部分を料理ハサミでV字状にカットする。きのこを搾り、水切り。

保存方法
 重ねて持ち帰ると、きのこの内部温度が急上昇、鮮度劣化してしまうので、手早く下ごしらえして、早急に保存することが大切だ。
 1 虫食いのないブナハリタケの生冷蔵保存は、下ごしらえせず、新聞紙に包み、フリーザーバックに入れて冷蔵保存。一週間を目安に使い切る。

 2 塩漬け保存
 下ごしらえした、きのこを熱湯で茹でる。冷めるのを確認し、タルに塩を敷き、きのこを並べさらに塩を振り掛ける。この作業を繰り返し、茹で汁を最後に注ぎ込む。上部に落とし蓋を載せてから、蓋が浮き上がらないように軽い重石を載せる。

 3 下ごしらえした、きのこをサラダ油入の鍋に入れ、酒、みりん、醤油で味付け。冷めたらフリーザーバックに小分けして収め、冷凍保存。

料理 
 ブナハリタケは個性が強いので、合わせきのことの相性は最悪。単品使用がよい。

油炒め
 きのこの強い味を醤油で抑えて、賞味する。 
 1 下ごしらえしたブナハリタケを食べやすい大きさに、手で裂く。
 2 フライパンを火にかけ、サラダ油を入れる。
 3 2にきのこを加え、酒、砂糖、醤油で調味する。
 ※ 醤油に換えて、味噌味でも良い。

野菜炒め
 きのこの香りを野菜にのせていただく。
 1 食べやすい大きさに野菜を切る。
 2 フライパンを火にかけ、サラダ油を入れる。
 3 野菜が半生のとき、下ごしらえしたきのこを加え、塩とコショウで調味する。
  ※野菜は長ネギ(玉ネギ可)、ピーマン、ニンジン。キャベツ。
  ※サラダ油に換えて、バターでも良い。 

煮つけ
 調味料できのこ味を抑えて、いただく。
 1 下ごしらえしたブナハリタケを食べやすい大きさに手で裂く。
 2 鍋に1を入れ、出汁、砂糖、醤油で煮詰める。
 3 器に2を盛りつけ、粉サンショウをふる。

和えもの各種
 好みの和え衣をつくり、和える。
 1 大根おろし和え。
 2 白和え。
 3 芥子醤油和え。
 4 芥子酢味噌和え。
 ※ ブナハリタケ特有の強い香りを弱める、和えものは美味い。

天ぷら
 ブナハリタケの香りを揚げ衣で包み込む。
 1 鮮度の良い生のブナハリタケを手早く洗い、軽く搾り、天ぷらサイズに手で裂く。
 2 天ぷら粉に1をまぶし、余分な粉はふるいおとす。
 3 2に薄衣をつけ、170度の天ぷら油で揚げる。
 4 器の3を盛りつけ、天塩を添える。

特選お勧め、ブナハリタケご飯
 ブナハリタケの香りをご飯にのせていただく。
 1 米を洗いザルにあげる。吸水に30分。
 2 下ごしらえの中型きのこを1㎝程度に手で裂く。
 3 鍋を火にかけ、サラダ油を入れる。
 4 3にきのこを入れ炒め、出汁、醤油、みりんで調味。味を含ませる。
 5 炊飯器に1と適量の水、醤油、酒、各大さじ3、昆布15㎝、4を加えて炊く。
 6 米が煮立つ前に、昆布をとりだす。
 7 茶碗に5を盛りつけ、熱々をいただく。
     
孤軍奮闘記
 主にブナに寄生するブナハリタケは奥山きのこの代表である。同じ奥山きのこ、ナメコ、マイタケが広く一般食卓に受け入れられたが、ブナハリタケは強烈な香りを好む人、好まない人に分かれてしまう。しかし、独特の匂い、シャキとした歯ごたえと喉こし感を食した場合、やみつきにさせられてしまう美味さが魅力。こうして、山入り詣でるに至る。

 奥山きのこ派の名人クラスになると、目的のきのこを出発前に予め決めておく。例えば、ナラタケの旬が終了すれば、次ぎに出る獲物はブナハリタケだ。ラストにナメコとムキタケ。という具合に、ターゲットをしぼりこむ。

 大方、計算通りにきのこは収穫できる。きのこプロの経験はさすがに鋭く、山生活の糧(かて)とした、卓越した感、技術を私たち一般人のきのこ狩りに応用したいものだ。


■『植野稔のホームページ』をどうぞ。
[PR]

by yuyugaku-ueno | 2008-03-07 08:36 | きのこ図鑑
2008年 03月 06日

91 ナメコ


 ナメコ<モエギタケ科スギタケ属>


ナメコのあらすじ
 奥山きのこを代表する、ナメコ。特有のぬめりは日本人好みの味覚を提供してくれる、ブナ帯が発生地。当然、山地トレッキングになり、森林浴を兼ねたきのこ狩りができる。
 11月15日に狩猟は解禁され、出盛りナメコ狩りは猟銃発砲に注意。

地方名あるいは愛称
 ナメタケ。ナメラッコ。ヌイド。ホンナメコ。ヌラボコ。ノエド。

発生時期
 秋~初冬(10~11月)。

 自生地
 広葉樹の倒木、立枯れ木、伐根、に束生あるいは群生。特に山地のブナに寄生している場合が多く、採集適地。
d0134473_774335.jpg


菌類名 
 木材腐朽菌。

特徴と鑑定法 
 傘の径3~10㎝、つぼみは半円球形、生長すると扁平にゆがむ。傘の色、濃黄色のちに淡褐色、強い粘性がある。傘肉は淡黄色。
ヒダは密、色は淡黄色で柄に直生。
 柄は長さ5~12㎝、色は淡黄色、強い粘性があり、上部にツバがあり、中空。

胞子紋
 褐色。

採り方 
 樹皮を剥がさないように、株ごと手で採集する。

下ごしらえ 
 1 採取したナメコを塩水(3%)にしばらく漬けておく。
 2 食べられない柄(淡黒色)を料理ハサミで切り落とす。
 3 流水で一個ずつ傘、ヒダに付着している枯れ葉、ゴミを除く。  
 4 きれいになったナメコを流水で数回洗う。

保存方法
 1 下ごしらえしたナメコを熱湯で軽く茹でる。冷めてから、熱菌消毒したビンに入れ、醤油、酢、塩、ホワイトリカーを数滴たらし、ビン詰め冷蔵保存。
 2 下ごしらえしたきのこを熱湯で軽く茹でる。冷めたら、漬物タルに入れ、塩漬け保存。
  ※ 塩分濃度は過飽和状態にする。
 3 下ごしらえしたナメコをビニール袋に入れて空気を抜き、ジッパー付き保冷パックに収め生ナメコ冷蔵保存。10日間を目安に使い切る。

料理
 ぬらめきを活かした喉こしの良い一品に仕上げる。

特選お勧め、大根おろし和え
 天然ナメコ味をおろしダイコンでいただく。
 1 つぼみ、半開きのナメコを茹でる。
 2 ナメコをザルにあける。(茹でた汁は味噌汁などに使う)
 3 大根おろしを作る。
 4 食べる寸前に2,3を和える。
 5 器に4を盛りつけ、糸かつお節を天盛り。
 ※ ナメコはフライパンでからめる(煎る・山形県郷土料理)方法もある。この場合、からめてから、醤油に軽く浸しておき、味を含ませる。茹で上げナメコ味の上をいく、無駄のない上品なナメコおろし和えに仕上がる。

網焼き
 ナメコの素朴な味を食べる。
 1 下ごしらえした開きナメコはペーパータオルで水気を拭く。
 2 炭火をおこし、中火の遠火の位置に網を置く。
 3 ナメコの傘表面を焼く。
 4 きのこからジクジクした水泡がでたら、食べごろ。
 5 器に4を盛りつけ、醤油をつけていただく。
 ※ 醤油にかえて、マヨネーズと醤油を混ぜたタレをつけて食べても美味い。

卵とじ
 ナメコに卵の旨みをのせていただく。
 1 卵を割りほぐす。
 2 下ごしらえしたナメコを使う。 
 3 フライパンを火にかける。サラダ油を入れる。
 4 油がなじんだら中火できのこを炒める。
 5 ナメコ汁がでたら、1を回し加え、塩、コショウで調味する。
 6 ナメコの色が変わったら、醤油を数滴たらして香りをつける。
 7 平皿に6を盛りつけ、スプーンを添える。好みでミツバを刻んで入れる。

ホイル包み蒸し焼き
 きのこの旨みを丸ごといただく、ホイルを開ける楽しみがある簡単料理。
 1 30㎝に切ったアルミホイルを2枚重ねる。
 2 1にナメコを入れ、バター、酒、醤油を加え、ホイルを包む。
 3 蒸気の上がった蒸し器(フライパンに水を入れても可)で5~8分間、加熱。
 4 器に3を盛りつけ、レモンを添える。
  ※ ナス、長ネギ、ニンジン、白身魚をホイルに入れることもある。
 
酢のもの
 きのこを酢でしめれば食欲をそそる。
 1 きのこを熱湯で茹で上げる。
 2 酢1、出汁1を合わせ、醤油で味を整える。
 3 1,2を和える。
 4 器に3を盛りつけ。刻みノリを天盛り。

ナメコと豆腐の味噌汁
 きのこ鍋
 きのこラーメン
  具として、下ごしらえしたナメコを使う。

孤軍奮闘記 
 かつて、ナメコは奥山きのこ派のマイタケと共に、秋における山人の貴重な現金収入だった。山岳地を糧とした山の生活者はマイタケ採り終了後、再び山入し、ナメコ採りを積雪期寸前まで山中を歩き続けた。マイタケが晩秋に採れる、クロフを最高級品であるように、ナメコも霜のおりる初冬にかけてのきのこを第一位とする。霜ふりナメコとでも名づけたいくらい、ビロード色の肉厚、柄太のきのこが奥山に発生している。このナメコは強烈な粘性、シコシコ感の重厚な歯ざわり、飲み込むときのヌルッとした、のどこしは早出(走り)ナメコが裸足で逃げ出すくらい絶品な味に脱帽してしまう。しかし、奥山ナメコは次第に栽培ナメコにその座を奪われ、山の経験者不足が収穫量の減少を伴い、大座墜落の拍車をかけ今日に至る。

 ナメコに限らずきのこの味覚とは、視覚から伝わる、形と色がプロローグ。きのこ形をした半開きから開きでなければ、きのこではない。生長するに従い、きのこのヒダに旨味の成分が蓄積されるからである。

 また、山採りきのこは成菌を料理することに意義がある。当然、そのきのこには、食用に耐えるだけのきのこらしさがある。然るに、老菌きのこを加えてしまえば、出来あがりの味を損ねてしまう事に留まらず、これでは、せっかく天然きのこを山地まで採集に行った意味を失う。

 最後になったが、ナメコファンの一人としていっておく。ナメコは土臭い香りがするのは確かだが、下ごしらえさえ充分に行えば、ほこり臭さは消えてしまい、ナメコのぬめりと旨味だけ残り、奥山の香り漂うきのこ料理に仕上がる。繰り返すが、ナメコ料理は水洗いが料理のすべてであると断言して良かろう。


■『植野稔のホームページ』をどうぞ。
[PR]

by yuyugaku-ueno | 2008-03-06 07:03 | きのこ図鑑
2008年 03月 05日

83 マイタケ

 マイタケ<タコウキン科マイタケ属></B>
 
マイタケのあらすじ
 里山きのこの王様がマツタケならば、奥山きのこの王様はマイタケである。山岳部を歩くことに情熱を注いでいるアウトドアマンに、最高の山の幸を贈り与えてくれるマイタケはその名に恥じない、香り、歯ごたえ、深い味覚を備えて、ミズナラの根元に自生している。

地方名あるいは愛称
 シロフ。シロマイタケ。クロフ。クロマイタケ。マエタケ。アワビタケ。ヤマアワビ。珍種の紫マイタケ、青マイタケもある。

発生時期
 秋(9~10月)。

自生地
 ミズナラ、クリ、シイ、ブナなどの生樹木、枯死木、伐採根に寄生。その根元に株状に点々と生える。発生の周期はマイタケ菌の生長によって、一年、数年単位で発生する。

菌類名 
 木材腐朽菌。

特徴と鑑定法 
株状の柄は枝分かれし、先端に多数のヘラ型あるいは扇型の傘をつける。
株の径10~70㎝、高さ10~50㎝。傘の色は白~淡黒色、生長すると淡茶色。肉の色は白。
マイタケの形状によって、軸(茎)太で立ち木株型(特殊なマイタケ)、半円球型(一般型)がある。

胞子紋
 白。

採り方
 ミズナラの根元に付いているマイタケは両手で揺するように採る。根先のマイタケは木ヘラで起こして採る。マイタケ穴は埋め戻す。
 超大型マイタケはシバで株を縛ると持ち帰りが良く、マイタケも壊れない。最近、木綿の風呂敷でマイタケを包み持ち帰っている。
d0134473_627321.jpg


下ごしらえ 
 株から食べやすい小房に手で裂き分け、軽く水洗いし、ペーパータオルで水気をとる。

保存方法
 1 マイタケを新聞紙で包み、ビニール袋に入れて、空気を抜く。抜いたらさらにビニー
 ル袋で包んで、冷蔵保存。約20日間、保存できる。生マイタケ料理に使用。
 2 天日でカラカラになるまで、干し上げる。乾燥保存はマイタケ味覚を生保存より数倍アップできる、優れ技。
 3 サラダ油、酒、ミリン、醤油で味付け。4人前程度に小分けして、ビニール袋に入れてから、フリーザーバックに収め、冷凍保存。

料理
 香り、歯ごたえ抜群の天然マイタケを料理に活かす調理法で仕込みに取り組む。

特選お勧め、天ぷら 
 歯ごたえ、香りを活かす。
 1 下ごしらえしたマイタケは天ぷらサイズに分ける。
 2 冷えた卵白2個を泡立たせないように溶く、冷水1カップを合わせ、ふるいにかけた小麦粉1カップを入れ、菜ばしで叩くように混ぜ、揚げ衣を作る。
 3 バットに小麦粉をしき、1のきのこをまぶす。余分な粉はおとす。
 4 3を2につけて、170度ぐらいの油温度で揚げる。
 5 器に4を盛りつけ、天塩を軽くつけて食べる。好みですだち(レモン)を搾りかけても良い。

油炒め
 マイタケの簡単クッキング。
 1 下ごしらえしたマイタケを小房に分ける。
 2 フライパンにサラダ油を入れて熱し、きのこを加える。 
 3 2に塩、コショウで調味、強火で一気に炒める。
 ※ サラダ油に換えて、バター炒めもコクがでて美味い。

ホイル包み焼き 
 きのこのもてなし一品料理となる。
 1 アルミホイル30㎝に切り、二枚を重ねる。
 2 ホイルに下ごしらえしたきのこを載せる。
 3 2にバター、酒、醤油を好みで加えてホイル包む。
 4 蒸し焼き、炭焼きで食べる。焼き加減はホイルに湯気が出始めたら5~8分間、好みの柔らかさすると出来上がり。好みですだちを添える。
 ※ナス、長ネギ、ピーマン、鶏肉を入れても美味い。

きのこ煮もの
 出汁のでるマイタケと、根菜とあわせて煮込む。
 4人分
 材料              調味料
 ダイコン3㎝…4コ      酒…大さじ5
 ニンジン、乱切り…4コ   みりん…大さじ3
 ゴボウ、斜め切り…4切れ 薄口醤油…大さじ3
 ニャガイモ…4切れ     水…適量
 コンニャク…3㎝にちぎったもの4コ
 マイタケ…200g

 作り方
 1 ダイコンは米のとぎ汁で水から煮て、アクとり。ニンジン、ゴボウ、ジャガイモ、コンニャクは湯通し、ザルに上げる。
 2 鍋に1を入れ、たっぷりの水を加え、火にかける。
 3 2が煮えたら、酒、みりん、醤油を入れて煮込む。
 4 3に食べやすい大きさ裂いた、マイタケを加えて煮る。
 5 マイタケがしんなりしたら、火を止める。
 6 器に5を盛りつけ、糸かつお節を天盛り。
 ※ 出来上がり後、再加熱して味を含ませると、根菜に味がのって美味くなる。

マイタケ酒
 酒党にたまらない一品となる。
 1 マイタケを直火で軽くあぶる。
 2 好みで甘口あるいは辛口の日本酒を熱燗に温める。
 3 2のなかに、焼きたてマイタケを入れて、2~3分間おいてから飲む。  
 ※ マイタケは焦がさないように焼くのがコツ。

きのこ鍋・けんちん鍋
 鍋ものの具に使う。
  
土瓶蒸し 
 1 下ごしらえしたマイタケは食べやすい大きさに手で裂いて、軽く焼く。(焦がさないように)
 2 ミツバは水洗いして水切り、糸結びにする。
 3 ギンナンは茹で上げておく。
 4 鶏肉は湯くぐし、水切り、醤油をふりかけ下味をつける。
 5 一番出汁を作り、醤油で調味する。(清し汁の要領で)
 6 土瓶に5を入れ、火にかける。
 7 土瓶の汁が温まったら土瓶にマイタケ、ギンナン、鶏肉を加え弱火で煮る。(蓋はしない)
 8 7が煮えたら、糸結びミツバを加え、蓋をする。
 9 蓋の上に猪口を載せ、かぼす(レモン可)を添える。

マイタケご飯 
 1 米をといで、ザルに上げておく。
 2 昆布の出汁を作る。
 3 下ごしらえしたマイタケは手で裂いて、油炒め(味付けはしない)。
 4 炊飯器に米3合、だし3合弱を入れ、薄口醤油大さじ3、酒大さじ3、3を加え軽く掻きまわす。 
 5 4を炊き上げて、15分ぐらい蒸らす。
 ※ マイタケが少ない場合、刻んでもよい。
 ※ 5のマイタケは炊く途中で入れる方法もある。
 ※ 昆布出汁を入れずに、直に昆布を入れて炊く場合は途中で昆布を取り出す。

特選お勧め、マイタケの刺身
 軸太マイタケが収穫できたら、鮮度のよいうちに刺身でいただく。
 1 マイタケの軸を5㎜にスライスする。
 2 竹ザルに1を平らに並べ、熱湯をかける。
 3 2が冷めたら、冷蔵庫に10分間置いて冷やす。
 4 皿にササをしき、3を盛りつけ、天然すりワサビを添える。

孤軍奮闘記 
 きのこを噛んだ時のシャキシャキ感、口中に広がる独特の甘味、香り、どれをとっても一級品のきのこだ。里山きのこの王様がマツタケならば、奥山きのこの王様はマイタケであろう。
 マツタケのプロがマツタケ山に君臨しているのと同じく、マイタケもプロがいる。両者は、同時に発生するため、両手に華とはいかず、古今東西何事においても、すべて思い通りにはいかない。
 マイタケ派の始動は8月中旬、トンビマイタケ採りの最中、早出(早稲)マイタケの木廻りをする。マイタケの着生しているミズナラはプロなら発生周期を覚えているので、マイタケ(ミズナラの木)目掛けて一直線に目的地に進む。出ていなかったら、次ぎのミズナラへ向かう。このように、数日から一週間けて1回目ミズナラ巡行は続けられる。
 マイタケのプロとて、シーズン中でも空帰りすることも多く、マイタケ採りは足の勝負と言われるが如く、多大な労力を要する。その結果、卸値で一キロ5000円程度、マツタケの十分の一しか値がつかず、マイタケの評価は著しく低い。奥山きのこプロのかせぎは微々たるものだ。
 マイタケとマツタケ共に最優秀食菌きのこだが、前者は自家工場大量生産可能なきのこで、幅広くきのこ食品を庶民に提供した功績は大きい。後者はアカマツなどに共生するきのこだから栽培が難しく、アカマツ林の衰退(炭焼きも影響している)に平行して、収穫量が激変、人気の的ゆえに高値を呼んでいる。
 マイタケの旬になると、プロ同士の熾烈な戦いの火ぶたが開始され、彼等の行動範囲は驚くほど広く、秋の釣瓶落としとの時間の配分に苦慮してしまう。当然、素人衆でのマイタケとの出会いは偶然以外には考えられず、天然マイタケを確保するにはそれなりの覚悟で望むしかない。ただ、車道近くにあるミズナラの“伐採根”にもマイタケは発生するので、プロのとらないマイタケがみつかる場合もある。但し、生ミズナラにでるマイタケと枯死木マイタケとは比べ物にならない。勿論、味は枯死木のほうが劣る。
 余談ではあるが、ミズナラの生木に発生する天然マイタケと、工場生産おが屑マイタケあるいは原木栽培マイタケとを比較すれば、味、香り、歯ごたえ、すべての点で自然ものが勝り、勝負にならない。
 なにはさておき、秋になればマイタケ山に向かうことは面白い。


■『植野稔のホームページ』をどうぞ。
[PR]

by yuyugaku-ueno | 2008-03-05 08:52 | きのこ図鑑
2008年 03月 04日

78 マツタケ

 マツタケ<キシメジ科キシメジ属>

マツタケのあらすじ
 平安の時代から雅を表現するのに欠かせない、最高級きのこ一品といえばマツタケだ。古(いにしえ)から受け継がれた、伝承のマツタケ料理は今も健在。日本人なら「ワンシーズン一度は食したい」と願いを込めてマツタケ狩りに挑戦したい。樹種による地方名はあるが、マツタケといって全国に通用する唯一のきのこ。まさにきのこの王様にふさわしい、王者の貫禄を遺憾なく発揮している。

地方名あるいは愛称
 発生する樹種による名称としてツガマツタケ、エゾマツタケ(北海道)、シオマツタケ(宮城県松島)、ハイマツタケ(北海道)。発生する時期によるツユマツタケ、ドヨウマツタケ。形から、つぼみ、半開き、開きの名がある。

発生時期
 夏(ドヨウマツタケ)~秋。ときには梅雨(ツユマツタケ)に発生することがある。

自生地
 アカマツ林、高山のコメツガ、ツガ、シラビソ、オオシラビソ、アカエゾマツ、トドマツ、ハイマツなどの針葉樹林に点々とあるいはリング状(菌輪)に列をなして生(は)える。

菌類名 
 菌根菌。

特徴と鑑定法 
 傘は幼菌では半円形、生長すると扁平に開く。傘の径3~30㎝、表面の色は黄褐色、ササクレと繊維紋がある。傘肉色は白。
ヒダは緻密で白色、柄に湾生。
 柄の径2~15㎝、長さ5~30㎝、綿毛状のツバがある。柄は充実。採集時には全体が白っぽい、時間がたつとやや黒っぽくなる。

胞子紋
 白。
d0134473_8315170.jpg


採り方
 きのこの根元に木ヘラを差し込み、きのこを掘り起こす。きのこが採れたら、石つきに付いている土をきのこ穴に入れ、埋め戻しをしてから、マツ葉を元通りに直しておく。

下ごしらえ 
 石つきの細かい土はボウルに水をいれ、爪先で土を丁寧に削り取る。きれいになったらきのこ全体を手早く洗う。直ぐに乾いた布巾にとり、水気を拭き、キッチンペーパーの上におく。

保存 
 1 マツタケは後日の料理に合わせた大きさに整え、サランラップできのこを包み、ジッパーの付いている保存ナイロン袋(フリーザーバック)にいれて冷凍する。
 2 下ごしらえしたきのこをラップで包み、フリーザーバックで冷蔵保存。10日間を目安に使い切る。
 3 マツタケ薬酒にすれば長期保存できる。

料理 
 ヨーロッパ特にフランスやイタリヤで、生きている宝石と呼ばれている“トリフ”は特有の香りが好まれるらしい。日本人にとって、石灰岩質のカシ林の土中に埋まっている、黒い塊のきのこは見た目も悪そうだ。食欲をそそる気はおこらない。(私は食べたことはない)
 トリフに比べ、きのこから伝わる風格、爽やかな香り、歯応え、美味な味。どれをみても超一級の日本マツタケは希少価値も手伝い、卸値で1キロ(7~10本)7万円時代になり庶民にとってマツタケは高嶺の華になった。
 日本民族は万葉の頃から今日まで、マツタケ好きは変わらず、秋の味覚を求めて一年に一回ぐらいは“ほんまもん”きのこの王様、国産マツタケ料理を楽しみたいものである。

網焼き
 マツタケの香りを丸ごといただく。
 1 七輪に備長炭をおこす。
 2 炭がおきたら、中火の遠火の位置に網をおく。
 3 下ごしらえしたマツタケは石づきのほうから、大は四等分、中と小は二等分に両手で裂く。
 4 きのこの外側を軽くあぶる程度に焼く。焼き加減はきのこに水分が出てきたら、焼きあがり。
 5 器に4を盛りつけ、醤油をつけて熱々を食べる。すだちをマツタケにかけても美味い。
 ※ マツタケは焦がさないように焼く。

ホイル包み焼き
 マツタケの香り、味を封じ込め、きのこのすべてを食べる。
 1 下ごしらえしたマツタケは石づきのほうから、食べやすい大きさに両手で裂く。
 2 アルミホイルを30㎝に切り、二枚重ねる。
 3 2にきのこを入れ、酒、醤油をふりかけホイルを包む。
 4 蒸し器の蒸気があがったら、3を並べて5~8分間、蒸し上げる。
 5 器に5を盛りつけ、好みですだちを振りかけても良い。

マツタケ酒
 マツタケの香りを日本酒にのせて飲む。酒党にはたまらない魅力を持つ。
 1 つぼみマツタケを丸ごと直火で軽くあぶる。
 2 好みで甘口あるいは辛口の日本酒を熱燗に温める。
 3 器に2を注ぎ、焼きたてマツタケ1を入れて、数分おいて飲む。
 ※ マツタケは焦がさないように焼くのがコツ。

土瓶蒸し
 マツタケの香りを出汁に移して、マツタケ汁をいただく。
 1 下ごしらえしたマツタケは食べやすい大きさに手で裂いて、軽く焼く。(焦がさないように)
 2 ミツバは水洗いして水切り、糸結びにする。
 3 ギンナンは茹で上げておく。
 4 鶏肉は湯くぐし、水切り、醤油を振りかける。
 5 一番出汁を作り、醤油、塩で調味する。(清し汁の要領で)
 6 土瓶に5を入れ、弱火にかける。
 7 土瓶の汁が温まったらマツタケ、ギンナン、鶏肉を加え再調味、弱火で煮る。(蓋はしない)
 8 7が煮えたら、ミツバを加え、蓋をする。
 9 蓋の上に猪口を載せ、カボスを添える。
 ※大人数のとき土瓶に換えて、どなべで料理して良い。

特選お勧め、マツタケご飯
 マツタケの香りをご飯にのせて食べる。 
 4人分
 1 米をといで、ザルに上げておく。
 2 昆布の出汁を作る。
 3 下ごしらえしたマツタケ3本は手で裂いておく。
 4 炊飯器に米3合、昆布出汁3合弱を入れ、薄口醤油大さじ3、酒大さじ3、3を加え軽く掻きまわす。 
 5 4を炊き上げて、15分ぐらい蒸らす。
 ※ マツタケが少ない場合、刻んでもよい。
 ※ 昆布出汁を入れずに、直に昆布を入れて炊く場合は途中で昆布を取り出す。

孤軍奮闘記
 アカマツとマツタケ菌根菌の関係を共生と呼んでいる。そのいきさつとは、アカマツが生長する過程で細根に絡みついたマツタケの菌糸が、土の中にいる害敵菌類からアカマツの根を攻撃、侵入されるのを防ぐ、水、リンを吸い上げアカマツに与える。そのお返しに、アカマツの養分をいただく。つまり、お互いに助け合いながら生活している。
 マツタケのマツ科における菌根菌は多種に及び、目指す奥会津只見地区の岩稜にキタゴヨウマツが自生している。マツタケ狩りといえば、アカマツ林と相場が決まっている。しかし、岩壁帯を岩から岩へノーザイルで登る、フリークライミング的マツタケ採りも面白く、年甲斐もなく岩山へ挑戦中だ。


■『植野稔のホームページ』をどうぞ。
[PR]

by yuyugaku-ueno | 2008-03-04 08:37 | きのこ図鑑
2008年 03月 03日

73 ホンシメジ

 
ホンシメジ<キシメジ科ジメジ属>
  


ホンシメジのあらすじ
 マツタケと並び称される最高級食菌、ホンシメジ。あらゆるきのこ料理に合う、万能きのこ。一度賞味すれば忘れがたき上品なきのこ味に有頂天、きのこ狩りの大本命で秋には老若男女が入り乱れ、雑木林で戦いの火蓋がきられる。

地方名あるいは愛称
 ダイコクシメジ。ホテイシメジ。ギンシメジ。ネズミシメジ。シロフサ。クロフサ。
ゴホンシメジ。ホンセンボン。

発生時期
 10月。

自生地
 アカマツの混じる雑木林、コナラ林に、リング状(フェアリーリング)あるいは列状をなしながら、単生または束生する。

菌類名 
 菌根菌。

特徴、鑑定法 
 傘の径2~8㎝。幼菌は半円球、生長すると円垂形に平らに開く。老菌は扁平する。表面の色は淡灰色~暗褐色、繊維紋を生ずる。傘肉色は白。
 ヒダは白で緻密、柄に直生あるいは湾生。 
 柄は高さ1~3㎝、長さ5~10㎝、ヒダから根元にかけて太く、充実(押すと硬い感触)する。
 ※ 柄がヒダ下から根元まで、ほぼ同じ太さのホンシメジもある。
 ※ 豊作年では通常サイズの3倍程度の巨大ホンシメジをみかける。

胞子紋 
 白。

採り方
 木の枝で作ったヘラをきのこの根元に差し込み、掘り起こす。掘り上げたきのこは土を取り除き、枝入りの竹籠に入れる。最後にきのこ穴は必ず埋め戻す。こうすればきのこのシロは傷まず、守れる。
d0134473_6454471.jpg


下ごしらえ 
 1 束生きのこは房から1本ずつ手ではがす。
 2 軽く流水で水洗い。ザルに上げて、水切り。
   
保存方法
 1 下ごしらえ済み生ホンシメジをラップに包み、ジッパー付き保冷袋(フリーザーバック)に入れて冷凍保存。
 ※ ラップ包みは料理単位で小分けにまとめる。
 2 天日で干し上げ、乾燥保存。
 3 ビン詰めして保存。


料理 
 「味の女王様」の例え通り、きのこの姿態から伝わる風味は抜群である。古くかマツタケと並び称されてきた、きのこ日本料理の原点といえる。
 味を生かすにはシンプルな調理が旨味を引き出してくれる。

網焼き
 網焼きは多種きのこに利用できる、素朴なきのこ味を楽しむ。 
 1 七輪あるいはバーベキューコンロに炭火をおこす。
 2 きのこは軽く洗い、紙タオルで水気をふき、石づきから手で裂く。
 3 1に金網をのせ切り口を上にして、遠火の強火で焼く。
 4 きのこから水分がでて、香りを確認すれば仕上がり。
 5 器に4を盛りつけ、醤油を数滴たらしていただく。
 
清し汁
 日本料理の原点、汁物の奥義を探ることに挑戦する。
 1 きのこを水にひたし、数時間おく。
 2 鍋に1の全量を入れ、弱火にかける。
 3 きのこ出汁の味を確かめ、塩(少々)、醤油(数滴)を加える。
 4 器に3を盛りつけ、熱々をいただく。
 
どびん蒸し
 きのこの風味を出汁にのせ、香り、きのこ汁を味わう。
 1 七輪(ガス火可)に炭火をおこす。
 2 紙タオルで下ごしらえしたきのこを拭き、石づきから手で裂き4等分。
 3 昆布、かつお節で一番出汁(だしの素可)をひく。
 4 1に金網をのせ、ホンシメジの傘面を遠火で焼く。
 5 どびん(土鍋可)に3,4を入れ、中火にかけ、醤油数滴、塩少々で味を整える。
 6 5にすだちを添え、熱々をいただく。
  ※ 鶏肉、エビ、ギンナン、高野豆腐、ニンジンを加えても良い。

茶碗蒸し
 きのこの風味を卵汁に閉じ込め、きのこ味、香りを食べる。
 4人分
 材料         調味料
 ホンシメジ…8コ   塩…小さじ半分
 出汁…2カップ    醤油…数滴
 卵…1コ       
 作り方
 1 卵を割りほぐし、漉し器で漉す。
 2 ホンシメジを洗い、水きり、石づきから4等分。
 3 茶碗に出汁、1を等分に入れ、塩、醤油で味を整える。
 4 蒸し器の蒸気が上がったら、3を入れ、最初は強火、湯気を確認したら、中火で12~15分蒸す。
 5 蒸し上がったら、ミツバを入れ、熱々をいただく。
  ※ 鶏肉、ギンナン、エビ、ニンジンを入れる方法もある。

 油炒め
 きのこの味を確かめる、最高の手段はこれしかない。
 1 中華鍋を火にかけ、サラダ油を入れる。
 2 1にきのこを入れ、強火で炒める。
 3 2を塩で味つけ、火を止める。 
 4 器に3を盛りつけ、糸かつお節を天盛り。

 ホンシメジ料理余談、栽培ホンシメジを油炒めで賞味する
 アカマツ林と共生関係にある理由から、栽培が不可能といわれていた、ホンシメジ。しかし、自然遊悠学参加者持参の栽培ホンシメジを見ると外見上、野生のホンシメジと酷似している。
 早速料理に入る。
 1 茎を裂くと内部に小穴が虫食い状にある。ホンシメジには見当たらないことだ。また傘裏がややクリーム色、ウラベニホテイシメジと同じだ。
 2 サラダ油をフライパンに入れて、火にかけシメジを炒め、塩で調理する。
 3 器に盛りつけ、食べてみる。
 4 口に入れる、でも旨味が伝わらない。

 結論
 1本100円、1本1,000円の差が味の差にでた。今後、バイオ技術改革で改善していくだろう。
 改めて天然ホンシメジ味の良さを再認識した。
d0134473_16135897.jpg


孤軍奮闘記
 マツタケ、マイタケ、ホンシメジ。このトリオは最高級きのこの称号であることに対し 異論を唱える者はおるまい。しかし、世間は広い。仮に1億2千万人のうち、一人あるいは何人か意義を申し出る幻の使者が出現したら、小生が必ず説得してみせる自信がある。卸値でキロ、7万円・5千円・3千円の価値がある。「たとえ親、兄弟でも教えない」のが、高級きのこ採りの掟だ。けれども、往往にしてシロ(きのこがでるポイント)は他人と重なることがある。
 小生のホームグランド会津地方の場合、10月10日前後がホンシメジノの旬を迎える。主にマツ林を目指すことになる。
 今回は頂上近くにアカマツのある斜面が雑木林、右手がブナ林、両者を分ける窪地の
境にホンシメジのシロが3カ所、きのこは点々とあるいは束生し発生しているはずだ。
 このシロ、T氏がみつけたのだが、Y氏と小生も案内してもらっている。きのこを一
つ一つ習っていた頃、毎年3人で自己流きのこ学を勉強していたので、T氏も快く自分のシロながら、私たちの同席を許したのであろう。
 T氏は柄の長いカマを持ち、山高帽子が似合う男だ。そのT氏、早々にホンシメジを見、さすが先達者。2カ所目のシロはホンシメジがフェアリーリング(菌輪)であることを証明できる、帯状に点々と自生、物の本に記載された通りだった。
 残るひとつのシロへ直行。そのとき見知らぬ男が片っ端からきのこを採りながらやって来る。明らかに毒きのこなのに、平気な面して小生たちの前でも毒きのこを採っている。第三のシロは横一線にホンシメジが並んでいる。
 「ヤバイ」咄嗟にホンシメジを隠すため、きのこ籠を背中から下ろす。籠の下はホンシメジの株があるのを知っているのだが、やむを得ぬ処置である。毒きのこ男は盛んに場所の移動を我々に勧める。「となりの尾根にある」「鈴なりにある」こんなまやかしをでっち上げ、最後は帳面までとりだして、地図入りのきのこ場メモで小生らを説得。
 「このきのこ(ホンシメジ)食えますか?」毒きのこ男に尋ねる。小生はしらばっくれる。すると「毒かも?」つれない返事が返ってくる。
 「ジャ!捨てる」小生は惜しげもなく、大きな株のホンシメジを草むらに投げ捨てた。毒きのこ男はけげんそうな顔つきで、性懲りもなく再び我々が見向きもしなかった毒きのこを採りながら帰っていった。
 小生は何事もなかったふりをしてホンシメジを回収し、籠をどかし、つぶれかけたホンシメジを集める。
 毒きのこ男の不可解な行動は我々に毒きのこを食べさせたいのか? 奴はクサウラベニタケを採集、「食える」と、きのこを小生にみせた。問題のホンシメジは毒。これではつじつまが合わない。
 おそらく毒きのこ男のシロと、T氏のシロは一致していたのだ。シロを守るために、いかなる手段を講じても良いのか。歩いて10分、ホンシメジのシロは貴重な存在ではあるけれど、きのこ仲間を傷つけても許されるのだろうか。T氏もY氏も小生も考えさせられる事件だった。
 あの不可解な事件から7年あのシロはどうなっているのだろうか。もう一度、毒きのこ男に再会したい。そして、こう言いたい「きのこ採りは愉しいですか?」と…。


■『植野稔のホームページ』をどうぞ。
[PR]

by yuyugaku-ueno | 2008-03-03 08:32 | きのこ図鑑
2008年 03月 01日

51 ナラタケ

きのこ狩り先手必勝
 山地に自生する優良きのこの採集から料理
  ここで採る、きのこ鑑定、下ごしらえ、一品料理 
  
ナラタケ<キシメジ科ナラタケ属>

ナラタケのあらすじ
 木材を腐朽させる森の掃除の役割を担っている。豊作年に当たれば珍しい、地面からナラタケが発生する、菌流れがみられる。
 きのこ狩りの対象としては一般的、まぎらわしい毒きのこもなく安心して採集できる。また収穫量も多い。
 問題のナラタケ料理、ぬめり、歯ごたえ、旨みを持っている。加えてどのような料理にも対応できる、万能きのこである。

地方名あるいは愛称 
 ヤマドリキノコ。ナラブサ。ナラモタシ。サワモタシ。サモタシ。オリミキ。ボリボリ。ヤタラモタシ。モタセ。ツバオリメキ。

発生時期
 6月、9~10月の2回発生。不作年は秋1回。

自生地
 広葉樹、針葉樹の倒木、立木に群生あるいは束生し、着生。樹種は選ばず、あらゆる樹木にでる。繁殖が活発になると、菌が流れて土からも発生する。

d0134473_7292871.jpg

菌類名 
 木材腐朽菌。

特徴、鑑定法 
 傘の径5~10㎝。傘の色は淡褐色。中央にかけて色の濃い鱗片をつける。
 傘は丸山形、老菌になると扁平に湾曲。傘の周辺には条線。(筋条の線)湿ると、弱い粘性がある。傘肉質は白。
 ヒダは密で柄に直生あるいは垂生し、色は白。老菌になると黒褐色になる。
 茎は幼菌では下部がやや膨らむ。生長途中で茎にツバができる。茎の長さ4~8㎝、太さ5~10mm。成菌は繊維質の中空、老菌になると茎は白色黒褐色に変化する。
 現在、ナラタケはオニナラタケ、クロゲナラタケなど6種ぐらいに分割された。

胞子紋
 白。
  
採り方  
 1 株ごとに採集。湿るときのこ同士が貼り付いてしまう。新聞などで小分けし持ち帰る。
 2 発見したナラタケが大量の場合、傘と茎の食べられる部分だけ採集する。

下ごしらえ
 1 黒くなっている石づきをハサミで切り落とす。
 2 軽く、水洗い。こうすると、きのこに水分が含まれナラタケは壊れにくくなる
 3 きのこをザルに入れて広げ、水切り。

保存方法
 1 熱湯で軽く茹で上げ冷ます。ナラタケを小分け、ビニール袋に入れ、茹で汁も加えて冷凍保存。
 2 下ごしらえしたナラタケを酒煮して、冷凍保存。
 3 ナラタケを煮つけして、冷凍保存。    
 4 熱湯で軽く茹で上げ、冷まし、塩漬け。茹で汁を最後に注ぐ。 
 5 ナラタケを天日で干し上げ、乾燥保存。
 ※ それぞれ荷札に作業月日を記入する。

先ナラタケ料理
 正式名のほかに、各地で様々な愛称で呼ばれ親しみやすいことから、ナラタケは古くから山の幸として利用し食べられてきた、きのこの代表といえる。
 食用になるのは若い成長期のきのこを使う。また、本種は調理すると、きのこが黒くなる欠点がある。しかし、歯切れよい感触、ほのかに伝わる甘い香り、ぬめり、舌ざわり、良好な出汁がでることから短所を補って余りある、どんな料理にも使える万人に好まれている優等生きのこだ。
 但し、ヒダ、柄が黒ずんでいる老菌は繊維質の劣化による、雑菌繁殖していて消化不良の原因になるから、採集のときには収穫しないことが大切である。


特選お勧め、大根おろし和え
 ナラタケ味を楽しめる。
 1 鍋に水を入れ沸騰させる。
 2 下ごしらえしたナラタケを熱湯に静かに入れ、軽く混ぜる。
 3 再沸騰したら、火を止める。
 4 3をザルにあ上げて水切り。
 5 4をボウルに入れ、醤油をかけて下味をつける。
 6 水切りした大根おろしのなかに、5のきのこをいれて和える。
 7 器に6を盛りつけ、糸かつお節を天盛り。
 ※茹で上げた、ナラタケ汁は味噌汁の出汁に使える。
 
バター炒め
 淡白なナラタケにバターを加えて、味をまろやかにする。
 1 下ごしらえしきのこを軽く湯通し、水切り、ナラテケを使う。
 2 フライパンを火にかけ、バターを入れる。
 3 バターが溶けたらきのこを加え、塩、コショウで調理する。
 4 器に3を盛りつけ、みじん切りしたパセリを振りかける。
 ※1を少略しても良い。

佃煮
 ナラタケの保存食になり、後日ナラタケご飯に使える。
 1 鍋に下ごしらえした、きのこを入れ火にかける。
 2 酒を1に加える。
 3 2が煮え始めたら、砂糖、醤油を入れて弱火で煮込む。
 4 煮汁が半量になったら、1日目は終了。
 5 2日目、4に水を加え、弱火でゆっくり煮込む。
 6 5の煮汁が少なくなったら仕上げに、みりんを加え煮汁がなくなるまで煮る。
 7 器に6を盛りつけ、糸かつお節を天盛り。
 ※3~4回、煮込みを繰り返せば、味に深みが増す(好みで行う)。

卵とじ
 シンプルなきのこに卵の旨みを加えて、賞味する。
 1 中華鍋を火にかけ、サラダ油を入れる。
 2 1に下ごしらえしたきのこを入れ、強火で炒め、塩、醤油で調理。割りほぐした卵を回し入れ、火を止める。
 3 器に2を盛りつけ、薄切りミョウガを天盛り。

 味噌汁
 味噌の風味、きのこの出汁を合わせた味覚を楽しむ。
 1 鍋に水を入れ弱火にかけ、きのこを加える。
 2 きのこ出汁を確認し、味噌を溶いて味を整える。
 3 器に2を盛りつけ、白髪ネギを天盛り。
 

 きのこ鍋・野菜炒め
 ナラタケはクセがなく万能きのこなので、きのこ同士の合わせができるから、各種の料理のきのこ具として利用できる。

料理ナラタケの冷凍保存 
 大根おろし和えレシピを参照し、1、2、3、4、を作り茹で汁が冷めたら漉し器で漉し、二重にしたビニールのなかに汁を注ぎ、4人前単位にきのこを分け入れ、口元を結び、板状に冷凍保存する。料理するときには冷凍のまま調理する。
 
孤軍奮闘記
 秋田県に森吉山という山がある。鳥ヤ・天然記念物クマゲラ営巣地、沢ヤ・小又峡、山ヤ・森吉山、釣ヤ・小又川、遊びヤ・高原牧場など。趣味人には応えきれないフィ-ルドを森吉山は提供してくれる。
 きのこマニアにもかけがえのない最高の位置にある。それは、かつての林野庁秋田営林局の縄張りに森吉山が含まれ、当地は秋田天然スギの山地でもあり、小又峡奥に天然記念物、桃洞杉を有する。然るに、森吉山全域を択伐、彼らは合法的にブナ、ミズナラ、スギなどを伐採できる。このようにして山地はトラ刈リ状態。そこへ時速100mの強烈台風が襲い、人為的自然破壊と天災が合わさり、きのこ菌、得に木材腐朽菌へ大きなプレゼントを与え、最大規模の“きのこ場”が完成。落成式典への招待状が届かなくても、様々な○○ヤを多数持つ小生らしさを発揮、なにはさておき秋の森吉山へ馳せ参じた次第である。
 「ウーム」「ハァー」。喜びと悲しみを同時に秘め、きのこ山へ出発。
 「ナンダ!!」30分ぐらい歩いたところに、ナラタケが群生しているではないか?
 よくみると、あちこちにナラタケの花が満開。まさに大豊作、辺りが平地なので付近一面の倒木はもとより、地面にもナラタケ菌がながれ、まるで“きのこ山”だ。こんな光景は新潟県、三面から小松沢への山越えルートでみて以来、二度目の経験。今回はそれを上まわる見事なナラタケ畑に感激。
 都合三日間ナラタケを取り捲り、あちこちに宅配する。
何時の間にか、きのこの匂いを嗅ぎつけ、地元のきのこヤがやって来ていた。良く見ると、小生が採り残した幼菌、老菌を一本も残さず採集しているではないか。こうしてナラタケ山は発生5日目で元のハゲ山になる。
 それからのナラタケ山の行方は知らない。


■『植野稔のホームページ』をどうぞ。
[PR]

by yuyugaku-ueno | 2008-03-01 11:56 | きのこ図鑑