植野稔の自然遊悠学 イワナだ! ヤマメだ! 山菜だ! きのこだ!!

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カテゴリ:メディア( 24 )


2011年 07月 17日

1563 テレビ再放送

ハイビジョンスペシャル「幻のイワナを求めt」

初回放送 2002年9月26日

再放送 2011年7月18日(月・祝) 12:00~14:00

放送波 NHK BSプレミアム

取材地 ロシア カムチャツカ半島 国内 朝日連峰

まだ見ていない人はご観覧ください。
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by yuyugaku-ueno | 2011-07-17 18:30 | メディア
2011年 07月 09日

1552 テレビ再放送

ハイビジョンスペシャル 「幻のイワナを求めて」

初回放送 2002年9月26日

再放送日 1011年7月18日(月・祝)

放送波 NHK BSプレミアム

放送時間 12:00~14:00

取材内容 ロシア カムチャツカ半島 国内 朝日連峰

まだ見ていない人はご鑑賞ください。
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by yuyugaku-ueno | 2011-07-09 12:48 | メディア
2011年 06月 30日

1533 幻のイワナを求めて

ハイビジョンスペシャル「幻のイワナを求めて」
初回放送 2002年9月26日
再放送 2011年7月18日(月・祝)
放送波 NHK BSプレミアム
放送時間 12:00~14:00

内容
ロシア、カムチャツカ半島取材
国内 朝日連峰取材

再放送です。
見逃された人はご鑑賞ください。
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by yuyugaku-ueno | 2011-06-30 17:17 | メディア
2011年 03月 13日

1429 渓流賛歌

渓流エッセイ

第十三話  人生をイワナに賭けた、山釣り48年

日本国中に棲む渓流三魚イワナ・ヤマメ・アマゴ全河川の魚止めを見たい。若かりし頃に志し、有名渓流、山岳地渓谷を歩いた。これまでに踏査した3000余も、全国に存在する30000余ある渓流群に圧倒され、40歳で作戦変更。滝をいくつも越え遡っても魚止めに到着しない、厄介なアマゴ調査。一河川に3日費やす渓流をやむを得ず、断念。50歳で関東から離れたヤマメの棲む谷をあきらめる。残されたイワナ魚止め探訪に夢を託す。
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挿絵  奥田営子

私は今、栃木県北部にある男鹿山麓に住んでいる。自宅裏の川にヤマメとイワナがいる。近くの山には山菜が自生、秋はきのこと山の幸に恵まれている。県境を越えると第二の故郷、会津にいける地の利が良い。
近年、自然遊悠学を立ち上げ、山菜・きのこ・渓流釣りガイドでの山暮らし三昧。この地で目標に掲げた、イワナ魚止めを目指す計画を図り、実行している。
何故、長い間イワナだけを相手にできたかというと、それは自分自身の一つのことにこだわりを持ち、そのこだわる最終正解解答を納得せぬ限り、次のテーマに進まない天の邪鬼な性格にあるようだ。
イワナと人間では生まれも育ちも生態も違う。さかなは水中の酸素吸い、人は空気中の酸素を吸う。この違いがイワナの謎解きを難しくしている。イワナの不思議な行動として、日中の淵を探った際、一尾のイワナも釣れない。次の淵でも同じだ。しかし、闇が迫る最中、毛ばりを打った瞬間、強い当たりがあった。この事実は魚が全くいない状態から、どこに魚がいたのか不明ながら、イワナは15尾ていど入れ食いになった怪奇現象を何度となく経験したことがある。
イワナという魚は神秘さゆえに謎が多く、なかなか先に進めない。イワナ止め探索が大幅に遅れてしま理由はその辺にある。
これからもイワナの王道に迫る付き合いは果てることはなく、さらなる活動を行う覚悟はできている。
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挿絵  奥田営子

数年前、共同通信社依頼による渓流賛歌エッセイ13編を各地地方新聞に連載。
このたび新聞著作権失効となった。
今日から13日まで渓流エッセイ連載を開始いたします。
新たに挿絵を奥田営子さんに描いていただきました。
文は生原稿です。
ご笑覧ください。
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by yuyugaku-ueno | 2011-03-13 17:04 | メディア
2011年 03月 12日

1428  渓流賛歌

渓流エッセイ

第十二話  渓流師(たにし)たちのシーズンオフ

3月から幕を開けた渓流釣りも、9月いっぱいで禁漁期を迎え、その年のイワナ・ヤマメ・アマゴ釣りは終了する。禁漁後、解禁期間中に目標として掲げた、釣行計画実施の総括をやる。次に新しい年への釣り情報を入手、翌年度の釣行計画を立案すると釣り人シーズンは終了する。
「釣りが終われば晩酌三昧?」とはいかない。すでに佳境を迎えている、きのこの王様である深山幽谷の華、天然のマイタケを求めマイタケ師の跡を追う。
「舞いあがる」「きのこが舞っている」こんな表現がぴったりなのがマイタケ狩りだ。それは生のミズナラに発生する4kg、5kgクラスの大マイタケに出会えるチャンスある。時には一箇所で20kg.も出ている場合もあるから、発見すれば舞い踊りたい心境になる。
マイタケと同時期に楽しめる、マツタケ狩り。アカマツに発生するマツタケを採集できれば、一本7000円、一日の日当になる庶民にとって高嶺の花である。
10月半ばから味シメジの本命、ホンシメジがアカマツのあるコナラ林に出る。ホンシメジを採集できた場合、塩で味付けした油炒めは美味です。
絶妙な味に仕上がる、シモフリシメジ、ブナ林に発生するナメコと秋から晩秋まで、きのこ狩りが楽しめる。
「こんな山奥に魚がいた」魚止滝を越え、最源流部まで歩くきのこ狩りの良さは新しい渓流魚発見にもつながり足腰を鍛えられて、きのこを賞味できる一石二鳥の効果がある。
問題なのが12月、1月、2月の冬季間。アウトドアか積雪のため実施しにくくなり、寒さが行動を制約してしまう。しかし、この季節は広葉樹落葉期であり、山地肌がむき出しになる。山斜面を見られる季節でもあるから、悪絶極める廊下、滝、ゴルジュ突破ルート偵察に使える。
それでも時間のある人向き冬だからできる、スノーシューや雪山アタックもお勧めメニュー。来るべき釣りシーズンへ備える準備ができあがる。

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挿絵 奥田営子



数年前、共同通信社依頼による渓流賛歌エッセイ13編を各地地方新聞に連載。
このたび新聞著作権失効となった。
今日から13日まで渓流エッセイ連載を開始いたします。
新たに挿絵を奥田営子さんに描いていただきました。
文は生原稿です。
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by yuyugaku-ueno | 2011-03-12 17:58 | メディア
2011年 03月 11日

1426 渓流賛歌

渓流エッセイ

第十一話  ひえつき節の聞こえる、九州山地のエノハ

火の国、九州の屋台骨を支える熊本・宮崎県境山岳地帯。主峰国見岳(1738m.)から成る脊梁(せきりょう)山地の山々がある。日本で知られた激流河川、球磨川水源の有力渓流群にエノハ(ヤマメの地方名)を求めて探訪したひとつの渓谷が五木川だった。
源平合戦の舞台となった壇ノ浦から敗走、平家の一群が五木川の上流、五家荘(樅木・葉木・仁田尾・久連子・椎原)にも落ちのびてきた。源氏の総大将の弟、那須の大八と平家落人の娘、鶴富姫との悲恋を伝える、ひえつき節を当地では今の世に歌い続けられている。
車を降りて仁田尾の一軒家住人に向かう、これから遡る樅木本谷の様子を聞くためだ。開いている玄関横の縁側で、ヒゲを蓄えた古老がいた。早速、渓の現在を尋ねると親切に教えてくれた。
「夜が更けるから、今夜は泊まっていきな」帰り際に思いもしない言葉。私は久しぶりに宿の接待をありがたくうけた。また、古老の晩酌にも付き合い酔いがまわるにつれ、ひえつき節を披露してくれた。庭のさんしゅの木 鳴る鈴かけてヨーホイ 鈴の鳴るときゃ出ておじゃれ・・・・。
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挿絵 奥田営子

朝飯をご馳走になり昼の弁当まで頂戴した。古老の家は樅木本谷の中腹にあり、自宅の近くまでモッコ渡しの懸線が引かれ、それに乗せてもらった。「気合を入れて釣る」久しぶりで元職漁師の腕をふるわねばと、そんな気持ちでエノハ釣行を試みる。身の上も知らぬ私に親切にしてくれたお礼として、新鮮な良型エノハを食べていただくために・・・。
台風銀座コースとして名高い九州の河川は淵、落ち込みが随所にあり溪相は良好。激しく流下しているから深場があり、エノハが付いているポイントで良型魚が遊泳している。左岸に車道があるにもかかわらず、魚は多い。
2時間で目的の尾数に達し、以後は遡行と魚止め滝の確認に専念する。エノハは源流の二股までいた。更に足を伸ばし国見岳まで登り目標をクリヤー。
あれからちょうど20年、仁田尾の老夫妻は今も元気の暮らしているのだろうか。
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挿絵  奥田営子

数年前、共同通信社依頼による渓流賛歌エッセイ13編を各地地方新聞に連載。
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by yuyugaku-ueno | 2011-03-11 17:16 | メディア
2011年 03月 10日

1424 渓流賛歌

渓流エッセイ

第十話  イワナを殖やす、移植放流

体側に橙色の朱点を散りばめた、渓流の奥地に棲息地のあるイワナ。人間世界からかけ離れた奥山に棲んでいることから、幻の魚、神秘の魚、渓流の王などと呼ばれている。
「なぜイワナなのか?」釣友のいう開口一番の問いに「山が好きだから」と答えている。もう少し詳しくいえば、山岳渓流の奥地で天変地異にたえ孤高に棲む、自分自身の心情と同意できる共通の部分があるからだ。
元職漁師時代から今日まで何千何万のイワナを手にし、その愛らしい眼光、魚紋差異、冷水魚ゆえのさわやか感、惚れ込んだ魚だから一時でも忘れがたい。
近年、暖冬による溪水温の上昇、魚の遡上を妨げる堰堤、森林破壊など渓流魚の棲息地に好材料はない。また、渓流魚釣りブームも加わりイワナの生息数減少に拍車をかけている。
「私はイワナに守られ、山に育てられた」こう自認する建前から、イワナの繁殖計画を立案。岩魚を育てる同意たちとスクラムを組んで「イワナ移植放流」を25年ぐらい前から実践している。
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挿絵 奥田営子

「魚の棲まない魚止滝以遠にイワナを放流」これが私たちイワナ繁殖プロジェクトの目的で、未来へのイワナ遺産なのである。それは漁業協同組合による、釣り人を満足させる魚の放流事業方式と異なり、イワナの棲息圏拡大を目標にしている。
時には自分ひとりで魚を運び魚止滝奥に魚を放流した、新天地を訪ね歩くことがある。「元気に泳いでいる」移植放流の成果は上々、「幾分かのイワナへの恩返しができた」こんなときは我が子が生まれ育ったような気持ちになり、喜びも大きく感激してしまう。念のため下流の小沢で釣り上げた、イワナの成魚放流を行う。なるべく種の同一化を避ける配慮からだ。
近頃の釣りでは竿をおき、魚を眺める機会が多くなった。「イワナは毎日毎日たくましくなっている」こんなイワナ観を考えている釣り人は私だけではあるまい。

数年前、共同通信社依頼による渓流賛歌エッセイ13編を各地地方新聞に連載。
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by yuyugaku-ueno | 2011-03-10 17:28 | メディア
2011年 03月 09日

1422 渓流賛歌

渓流エッセイ

第九話 イワナ・ヤマメ・アマゴを賞味する

渓流三魚といわれる、イワナ・ヤマメ・アマゴを釣り、その棲息限界地点、魚止滝を確認することが、我が生涯のテーマである。それにもうひとつ大事なことがある。それは遡行中、幾多の困難な場面に遭遇したとき、すべての結果を自分ひとりで責任を担う、単独魚止突破を果たした意義こそ、渓、魚、自分自身の融合を刻むことができる。
単独釣行者にとって、魚止の奥に我が身を置き下界を見下ろす感激は遡行者だけに許された特権だ。
「アッタクザックの重量軽減が大切、魚止滝釣行成功のポイント」必要と思われる装備は最小限におさえ、山菜、きのこ、魚を現地調達しながら遡行し、米、調味料だけの食料計画で釣行に出かける。
厳しい渓を遡り終え、今宵のネグラをつくる。早速、朝な夕な楽しむことができるイワナ料理をつくる。
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挿絵 奥田営子

三枚に下ろしたイワナの切り身に小麦粉をまぶし、サラダ油・醤油・砂糖・刻みニンニクを合わせたタレに入れ、弱火で炒め焼く。残り汁はミズナあるいはフキを入れて炒める。イワナの頭、骨は焚き火で焼いてから味噌汁に。これで三品、キャンプ料理の完成。
渓流の女王ヤマメ。淡白な味を生かすには塩焼きが一番。地タケを切り、内臓処理したヤマメを縫い刺し、焚き火での遠火焼き。食べ終わったヤマメの骨は遠火でカラカラに焼き、骨せんべいをつくる。
関東以西に棲息するアマゴ。三枚に下ろした切り身に尾から包丁で皮むき。腹骨も包丁で削ぎ切る。食べやすい大きさに切った身にワサビ醤油をかけ、しばらくおく。ご飯の上に切り身を並べ、お茶をかければアマゴ茶づけの出来上がり。
美味絶賛、お勧め料理は魚の内臓処理で捨てられてしまう、内臓料理を紹介する。
魚料理で下処理した内臓は、肺、胃袋、腸に分け切り、胃の不消化物、腸のフンを洗い流す。
内臓を水と醤油入の鍋に入れ、弱火で軽く煮るとできあがり。
以上のように、シンプルで簡単レシピが山料理の真髄、無駄がないのが私の料理である。
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挿絵 奥田営子

数年前、共同通信社依頼による渓流賛歌エッセイ13編を各地地方新聞に連載。
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by yuyugaku-ueno | 2011-03-09 17:18 | メディア
2011年 03月 08日

1420 渓流賛歌

渓流エッセイ

第八話 ツキノワグマとの出会い

アタックザクに愛竿を収め、周辺を見わたす。源流部に好んで入溪した影響で、私の釣行地はブナ、ミズナラが茂る広葉樹原生林帯を毎回歩いていた。
辺りを観察すると、渓流で見かける潜水の名手カワガラス、ヤマセミ、カワセミ。美声で鳴くミソサザイ。梢を飛び交うエナガ、シジュウカラ、ヤマガラ。ドラミングするアカゲラ。山地の野鳥はエサ探しに忙しく動き回っている。面白いのは春先のカワセミの求愛行動、イワナの稚魚を捕らえたオスは首を左右に振って魚を弱らせ、メスのいる枝に向かい会い、御機嫌をとるかのように魚を与える愛嬌者である。
渓谷を遡行中、廊下、滝、ゴルジュにでくわす。山釣りでは悪場を抜ける場合、高巻きという迂回ルートを使い、危険な悪場突破は無用だ。
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挿絵  奥田営子

高巻きをするのは釣り人だけではない。山地に棲家のあるニホンカモシカ、ニホンジカも高巻きルートを使いテリトリーを循環する。こうして野生動物の通う、ケモノ道は誕生する。私はしばしケモノ道を利用して、難路を通過できた。
日本列島最大のケモノ、ツキノワグマ。幾度となく山里に現れ、田畑の食い物をあさる。時には人間に出会い襲い掛かる、厄介者。
「タケノコ採りの人がクマに食い殺された」「栗拾いの人がやられた]クマ被害は釣り人にも襲い掛かり、悪行を繰り返している。
野生の王者ツキノワグマとの20数回の出会いで、幸か不幸か危害が及んだことはない。たった一度、福島県会津で小グマが樹上でドングリの実を食っていた下を歩いていたとき、親グマが唸り声を上げながら突進し、向かってきた。とっさに尾根をかけ下り、事なきをえた。また、岩手県八幡平山中で、クマと鉢合わせ。至近距離は5m、目と目が合った瞬間、奴はユータウン。2005年度、この年は多雪でクマのエサが少なく、7頭を目撃。
「謙虚な姿勢で山入し、動物も友立ち」こんな気持ちで山釣りをすれば、野生の生き物たちは釣り人を受け入れてくれる。
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挿絵 奥田営子

数年前、共同通信社依頼による渓流賛歌エッセイ13編を各地地方新聞に連載。
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by yuyugaku-ueno | 2011-03-08 17:18 | メディア
2011年 03月 07日

1419 渓流賛歌

第七話 50cm.の大イワナ 我が憧憬の八久和川 山形県朝日連峰

北海道、本州、四国、九州、主要日本列島山岳部の地形図に記された、ブルーマーキングが3000余に達した頃、足繁く通い続けた渓谷が八久和川だ。
25000分の一地形図、四枚つなぎ合わせなければ魚止滝に到着できない、北の黒部と呼ばれている。長大な八久和川は山形・新潟両県にまたがる、ブナ原生林に覆われた大朝日岳を水源とする未開の剣谷である。
イワナ熱中過程における釣り人の志向のなかで、数より質に変わる時代がある。大物への強い憧れがこれにあたる。
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挿絵 奥田営子

こだわりはまだある。イワナには海、ダム湖から遡上する白い斑紋が特徴の、のぼりイワナ。渓流の奥地に棲んでいる、赤い斑紋が体側にある、いつきイワナがいる。私は渓流に生まれ渓流で育った、いつき大イワナを釣ることに、人生の大半を費やした。
「大物なら八久和だ。竿をへし折る大イワナがいる」八久和をテリトリーとしたイワナ職漁師から口伝された、夢の50イワナを求めて八久和川へ単独釣行を記す。
「大イワナが浮上したとき」これが大物を手にいれる、最初で最後のチャンスだ。大物魚が動くには30cm.以上の増水が決めて、その溪水の引き際に狙い定めるしかない。
「女心と秋の空」「秋の三日天気」いずれも秋の天気は崩れやすい、天気の格言。そこで恒例になった秋の最中、八久和詣を開始した。
三日降り続いた雨がやみ八久和は二尺も増水、濁流は大岩を簡単に移動させ、ズシンズシンと不気味な鈍い音を響かせている。「奴は動く。明日が大イワナのラストチャンス」単独行にとって、雨はつらくせつない。それでも大イワナ浪漫のため、一日おにぎり2個の貧食でも我慢できる。
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挿絵 奥田営子

八久和入りしてから6日目、減水気味の渓谷を泳ぐように遡行。目的地は大物魚が潜んでいる大淵。長竿に手元まである仕掛けをつくり、ドバミミズを針につけフッシュオン。
「きた、動かない」大物の証拠だ。奴はあおり上げたロッドに動じることなく、止まったまま静かにしている。その時、奴の棲家に逃げ隠れする引き込み。竿は穂先まで水中に没する。あわてることなく仕掛けを送り込む。
八久和の潜水艦は誇らしい魚体を浮上させ、そのたくましい雄姿を私に見せてくれた。


数年前、共同通信社依頼による渓流賛歌エッセイ13編を各地地方新聞に連載。
このたび新聞著作権失効となった。
今日から13日まで渓流エッセイ連載を開始いたします。
新たに挿絵を奥田営子さんに描いていただきました。
文は生原稿です。
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by yuyugaku-ueno | 2011-03-07 16:59 | メディア