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植野稔の自然遊悠学 イワナだ! ヤマメだ! 山菜だ! きのこだ!!

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2009年 07月 02日

660 川邑さんの想いで

故人を偲ぶ
■イワナ天国、北海道
世界的に見れば、日本に棲息しているイワナは、分布域の最南端に当たる。
それはイワナという冷水を好む渓魚の南限地が日本列島であることだ。
イワナは完全に北志向であり、日本における北の果てが北海道なのである。
本州域のイワナ止め滝探訪にある程度の目安をつけ、次なる目標にはイワナの本場である北海道のイワナ調査に取り組んだ。
いざ北海道釣行に挑むも、道内の渓流釣り人における渓魚志向はヤマメであり、イワナは害魚扱い、これにはイワナをこよなく愛している私にとって、信じられないことであった。
また道内でのイワナ釣りは年中解禁、「何でイワナなんか釣るのだ」と、釣り人から小ばかにされてしまった。
■川邑さんとの出会い
顰蹙を買いながら私はひたすら道内でイワナを狙った。
その最中、ある渓流で一人の釣り人に出会った。
とりあえず挨拶、しゃべり言葉から道内の釣り人であることが言葉尻から理解できた。
私の単独イワナ釣行を大変お気に入りの様子、単独行者にはお互いを理解できる、あううんの呼吸があるものだ。
釣り人は川邑と名乗り、千歳近くの長沼町に住んでいるといっていた。
とっさに意気投合、その場で自宅に案内してくれた。
私もしばらく民泊することなく、なんとなく人恋しい頃であったこともあり、素直にお邪魔することにした。
今から20年余前のことであった。
■川邑さんとの交流
私の北海道遠征イワナ釣行は都合7回、ほぼ1ヶ月に及ぶロング山行計画を実施していた。
その際、道内におけるイワナ巡行に4箇所の定宿があった。
北海道は本州と異なり観光立国らしく、内地からの旅人を暖かく迎え入れてくれた。
私の勝手な単独イワナ釣行者でも、快く各地で無料民泊を快諾し、道内人との交流を実現していた。
特に、川邑宅では私のハードなイワナ釣行スタミナを心配して、道内名物、ジンギスカン焼き、チャンチャン焼きをご馳走してくれた。
また川邑氏同行でのイワナ釣りもやって、獲物のイワナを燻製に仕込み、道内でのイワナ釣行に華を添えてくれた。
川邑さんとの同行釣行記は私の著書にあるから、このブログ読者の中で川邑さんの名前をご存知の方がいるかもしれない。
■川邑さん逝く
川村さんの訃報は瀬畑雄三さんが突然自然遊悠学の家に立ち寄りしてくれた内容のブログ投稿日。
コメントのコーナーに川邑氏の娘さんが投稿してくれた内容を読んだ結果である。
道内渓流釣りの最中、事故死してしまったようだ。
仔細は不明ながら、あの不死身だった川邑さんがまさか釣りで亡くなるなんて信じられない出来事だった。
私はしばし呆然として心が痛んだ。
思わず北方面に向かって手を合わせた。
なんで、なんで、なんで、と自問自答した。
川邑氏は天国へ召されたのである。
■川邑さんの武勇伝
1998年発売、山釣りシリーズ3、白山書房刊の中に出てくる、暑寒別岳、死の彷徨と題するエッセイの筆者が川邑さんである。
川村さんはネマガリタケが旬となる季節到来になれば、毎年ネマガリタケ採集をやっていた。
その時、暑寒別岳山中で、方向が不明となり遭難。
3日間、山の中をさまよい、かろうじて3日目に山から脱出に成功、命を取り留めたことのある不死身の人であった。
■11年ぶりの訃報
このところ北海道イワナ釣りは大分ご無沙汰している。
山釣りシリーズが未刊に終わり、私の北海道イワナ話はこれで終了、道南を除くイワナ調査もその役目は終わった。
そんな矢先、川邑さんの訃報を知ることになる。
私に今できることは川邑さんの安らかな死を願うばかりだ。
本来なら道内に馳せ参じ、弔いをすることであろう。
けれどの私側の事情があって、それはできない。
改めて川邑さんへお詫び申し上げます。
しかるべき機会を設けて、墓参りなどをしたい。
日高山脈のイワナ釣り第一人者、西名さん、頓別町在住のAさん、静内町在住のBさん、そして長沼町在住の川邑さん、すべて私のイワナ釣友は亡くなった。
各自のご冥福を内地から、心からお祈り申し上げます。

by yuyugaku-ueno | 2009-07-02 16:59 | 身辺雑記


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