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植野稔の自然遊悠学 イワナだ! ヤマメだ! 山菜だ! きのこだ!!

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2008年 07月 07日

250 栃木県側有望渓流魚、再調査のまとめ

2004年から2008年栃木県側有望水系イワナ・ヤマメ再調査の総括
流離の民から開放され、居を栃木県北部男鹿川に求めて5年目、この間、かつて足繁く通った栃木県北部のイワナ、ヤマメ釣り場をもう一度、釣行してみたい。
こんな考えがあって、古い記憶を頼りに、渓流釣りを再開した。

その理由の第一に、「自然遊悠学」を立ち上げ、イワナ釣りを中心とした、山菜やきのこを加えた、自然探訪プログラムを実施。より正確なイワナ、ヤマメ棲息地の把握。こうすることによって、山歩き、渓流遡行における副産物、山の幸自生地も同時に発見することができる。
下野、会津周辺のプロガイドに精神を集中させ、自然遊悠学スケジュール実行を円滑に運営したかったからである。

あしかけ5年。「いざ釣行」と意気込んではみたものの、以前のような渓流釣り場ではなく、自然環境破壊の現実にぐちあたり、落胆は隠せなかった。
しかし、30年前と今では、かなりの歳月が過ぎたことが手伝い、イワナ止め滝以遠に魚影がなっかた渓谷に、新たなイワナが泳いでいた。
それは自分で滝上にイワナを放流していた記録があって、現実にイワナを見たとき、このうえない喜びがあった。
すべての新天地イワナ場のなかで、明らかにイワナ愛好家による、イワナ放流があって、新イワナが他人様の努力でイワナの棲む新天地構築がなされ、今回のイワナ再調査最大の朗報になった。

「原始林」が育む、新イワナ場。それは豊かなる自然林があってこそ誕生できるものだ。
これに反して、以前いたイワナが消えた渓流には人為的自然環境破壊があって、渓魚が棲めなくなった現状もある。

以下、簡単に渓流釣り場のまとめを行う。






■阿武隈川水系
大白森山、甲子山、三本槍岳いわゆる裏那須の山々に水源を求める、阿武隈川の諸渓流がある。
釣行をする際、気をつけなければならない、水質の悪いイワナが棲まない渓流がある。
特に左岸、赤沢、白水沢は魚類はいない。
主な釣り場は、甲子温泉上流の本谷を遡行、上流にある雄滝まで、イワナを求めて釣行できる。
また水質の良くない渓流でも、その支流にイワナがいる谷があるから面白い。
帰路、イワナ釣行の疲れをとる、甲子温泉入浴は悪くない。
現在、新甲子トンネル工事中、完成開通すれば会津下郷に抜けられる。

■那珂川水系
三本槍岳、大倉山、男鹿岳から成る広大な流域面積があり、好渓流がひしめいていた。
それらを消滅させた、深山湖の開設以来、見事に期待を裏切られた。
那珂川源流
那珂川源流部にあたる、湯川。この渓流は私の好きなイワナ場ながら、悪水の渓流があるため、一部の支流にしかイワナは棲息していない。
大川ではコブキ沢、ギョウブ沢があったが伐採と堰堤工事で昔日の面影は消えた。
また大きいアメマス系イワナがいた大川本流は堰堤、伐採、車道工事の影響で、イワナはほとんどいなくなった。
矢沢。中ほどにある取水堰の構築で、下部渓流水が極端に減り、さらに塩那スカイライン工事で渓が埋まってしまった。
木ノ俣川。大滝上部にイワナが放流され、好釣り場になったかにみえたが、塩那スカイラインの開設工事の影響が、近年、渓淵埋まり現象が目立ち残念だ。
木ノ俣川の本命とされた、発電所下流ぶ渓水は健在。大イワナ、大ヤマメが出た釣り場だったが、地元釣り人による夜釣りで、その影響が心配されている。

■大蛇尾川水系
本流。地元、湯宮の村人による、虹鱒放流が定着している。
下部ヤマメ、中イワナ、奥虹鱒と三魚いる川は珍しい。
小蛇尾川。かつてのホームグランド、現在、蛇尾川ダムが完成してしまい、加えて塩那スカイライン工事の影響で、川そのものが大きく変貌してしまい、大イワナの宝庫も地に落ちた。以前の渓に魚影は少なく、再訪問印象を悪くしてしまった現実に失望した。

■箒川水系
塩原温泉郷のど真ん中を流下している渓流が、箒川。
温泉の泉源地ゆえに、悪水のため渓魚の棲まない渓が多い。
一部、好釣り場があるものの、解禁から入渓者が目立ち、盛期にかけて場荒れしてしまう。

■男鹿川水系
男鹿山塊の男鹿岳から帝釈山脈の荒海山、安ヶ森山を水源につ持つ広い流域面積を誇る、自然遊悠学の地元の渓流である。
男鹿川上流。
地元男鹿漁協の養殖イワナ放流は、横川集落上部キャンプ場までだ。
男鹿本流にあたる渓流に男鹿林道があり、渓への入渓は容易である。
また、3箇所ある堰堤が大場所ポイントになっていることに、多少の違和感はぬぐえないだろう。
上流で谷は二分され、白滝沢、本流源流部になっていて、イワナのポイントだ。
ただし、人のいなくなるときを見計らい、バッテリーによる違法行為が3から4年に一度、不心得者によってイワナの大量捕獲が、今年も行われてしまった。残念である。
入山沢
3年間、禁漁だった入山沢、岳の沢で新堰堤工事を実施中。生コンの悪水が心配される。
魚止めまで入山林道があるので、自分の好むポイントに入渓可能なため、初心者向きなイワナ、ヤマメ釣り場を気安く提供してくれる。
また、中ほどに有料イワナ釣り場があるので、アブレ組は立ち寄れる。
支流の中ノ沢、見通沢は最初がヤマメで、奥はイワナになる。この渓沿いにも林道があるので渓入りは安易だ。
漁協の養殖イワナ、ヤマメの放流は下流部なので、上流はすべて天然ものだ。
芹沢
漁協の放流は下坪まで、以遠はすべて天然渓魚だ。
この川もイワナ止めまで車道があるので、どのポイントからでも渓入りはできる、初心者コースのイワナとヤマメの釣り場になっている。

中三依温泉センター
中三依には中三依温泉センターがあるので、気楽に入湯できる。
入湯料金は500円。
私も時々入っているが、男湯から遠くに中三依の名峰、芝草山が遠望できて楽しめる。また、マスターは今市の人で、座敷で食事ができる。
さらに、ケビンがあり、温泉入浴付き4名様12000円で宿泊もできて、山菜、きのこ、釣りの場合、一泊二日の男鹿探索に利用できる。

■湯西川水系
県境稜線まですべて地元の財産区、という国有林のない珍しい湯西川温泉のある渓流が、湯西川である。
釣り場の三河沢川、アサズマ沢、移木沢に限られてしまい、前沢を始めとする湯西川下流支流群は車道開設で、壊滅的打撃お受け、渓魚の棲息自体あやぶまれているありさまだ。
面白いのがサンショウウオ漁。今も健在で奥山に5月か8月にかけて、ワナを仕掛けている。

■ 鬼怒川水系
日光連邦北面から栃木・福島県境にまたがる、利根川水系の一役を担い、今でも有望水系にあたる、好イワナ場がある。
稲ヶ沢
新しくできた川治ダムのバックウオーターに注ぐ渓流だ。
下流から板木沢、大滝沢が左岸から合流、本流は奥があった。
近年の開発で、渓が荒れ以前の渓魚はない。
とくに本流にできた車道が湯西川前沢とつながり、自然破壊はとどまることはなく、当然イワナの被害は多大である。
土呂部川
栃木県温度観察における、低温記録を公示しているのが当地に当たる。
その豊かな渓水を利用して、イワナの養殖、フライフッシング釣堀がここにある。
イワナとヤマメの天然者を釣るには、土呂部川本流と右岸左岸の沢を釣行することになる。
不動沢、滝尻沢、木戸沢、サワラ山沢、オッパタ沢、タチグラ沢の諸渓流があり、いずれも半日のイワナ釣りができる。
裏女峰の渓流
唐沢、三沢、深沢、野門沢が挙げられるが、イワナ釣り場は遡行がめんどうである。
特に深沢上流の滝沢は一般的にお勧めできない悪渓である。
川俣湖周辺右岸の渓流
大事沢、熊野沢。
開発で見こみなし。
門森沢。
鉱山の影響で、中沢のみにイワナがいるが、近年上流部に堰堤群の構築があり、水質が悪化しているのが心配だ。
湯沢。
天然記念物、噴泉搭がおくにあり、イワナはそれより上流になる。奥山の二俣から、イワナが釣れる。
川俣湖左岸、馬坂川と無砂谷。
馬坂川。
かつての名渓も左岸林道が福島県側につながり、入渓は安易になるも、その反面、イワナの魚影は少なくなった。
無砂谷。
無砂橋から右岸左岸の林道がつながり、魚止め滝を越えるいつの車道にはがっかりした釣り人は、私一人ではあるまい。
鬼怒川源流。
近年の秘湯ブームで、大手観光社とのタイアップがあって、八丁の湯、加仁湯、手白沢温泉、日光沢温泉に昔の面影はなく、現在風にアレンジされてしまった温泉郷にその魅力を持てないでいる。
有力支流であった、コザ池沢。この沢にもスーパー林道が左岸にできてしまい、あれから入渓は見合わせている。
源流の根名草沢は、噂ほどの魚影はなく魅力もない。

by yuyugaku-ueno | 2008-07-07 13:16


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