2008年 06月 27日
田代山(1926.3メートル)、帝釈山(2059.6メートル)、台倉高山(2006.7メートル)に水源を求める、鬼怒川支流の馬坂沢、無砂谷に強い興味を抱いたのは、今から40年以上前の話だ。 当時、アプローチが長く、車道もなく、まさにイワナの別天地であった。 なによりだったのが、イワナ釣りのプロがいて、滝上にイワナを放流してくれたおかげで、私の好きな釣り人の往来がなく、ビバークイワナ源流行に事欠く様子もなく、渓流が明るいので、単独イワナ釣り師にはぴったりの渓流釣り場であった。 日本列島が、高度成長期にかけて、日本経済は右肩上がりの急成長を成し、戦後復興を果たした。 しかし、経済発展の影で、日本列島が誇る、豊かなる原生林帯の活用という、大義名分もあって、経済優先のあおりをまともに受けた結果、各地方の山に車道開設、森林伐採で山は荒れてしまった。我がイワナの故郷、馬坂沢、無砂谷があっという間に、もろくも破壊されてしまった。 自然遊悠学の家を開設して3年、地の利を生かすため、再び那須連邦、男鹿山塊、帝釈山脈の山々を再訪問することにした。 その一環で、今回、馬坂沢のイワナ調査に向かった。 イワナをウオッチングするには、下流から上流へ遡行するのが常道ながら、それでは面白くないので、馬坂沢源頭から本流部を下降することにした。 人気のある馬坂沢、すでにイワナ入渓ポイントへは合計3台のマイカーが駐車してある。 自分の前には地元の軽トラが走っている。 おそらくサンショウウオ漁の人であろう、こんな源流へ釣り人はいないからだ。 それにしても、近年の馬坂林道の手入れはよろしく、崩壊している土砂、岩石をブルトーザーで整備してくれたおかげで、最源頭にある予定下降地点まで、我が旧式ポンコツのマイカーでも到着できた。 マイカーを安全な広い駐車スペースにおいて出発。 幸い、天気は上々、源流部にいることに、一瞬、驚いた。こんな山奥にマイカーを乗り入れ可能になった、新しい時代の到来に、少々、戸惑いを隠せない複雑な心境ではあるが??? 馬坂林道からオオイデ沢に向かう山道を歩く。 さすがと思えるフキ採集による、フキ狩りがこんな奥地で実施されている。おそらく地元の人のようである。太いフキだけを狩り、不要な葉をまとめて捨ててある、手際のよさに感服した。 「水のなくなるところまで、イワナがいる」とご教授授かってはいたが、急勾配で競り上がる、源流ではイワナの魚影はない。 けれども所々、ナタ目があるのでここでサンショウウオ漁をやるのか。いや肝心の胴仕掛けが設置されていないから、サンショウウオ漁はもっと奥山のようである。 オオイデ沢二俣までくれば、イワナが走った。 さすがに元イワナ釣りプロのテリトリー、私の期待にかなうイワナの放流に同感してしまう。 ほぼ同水量のジャグチ沢が左岸から出合う。 付近の巨岩帯が岩魚を育てているようだ。 下流を下れば、両岸に岩場のある滝、コビルノ滝、3段になっている。 2段目の滝釜には新しい樹木が入ってしまい、イワナ釣りはできない。 風倒木が岩魚をかろうじて守っているのかもしれない。 しばらく平凡な下降の最中、イワナ釣り師に出会う。 今市からの人で、感じよく私の下降を認めてくれた。さらに、下流でもう一人の釣り人がいるから、その釣り人に自分の車まで、送ってくれる手配をしてくれた。誠に親切な釣り人に感謝しながら、さらに下降を続ける。 渓相のよい、落ち込みの連続する本流を下る。 すると先ほど説明を受けた、釣り人がいた。 理由を話し、自分の車までの送迎をお願いして、先に下る。 二人目に会った釣り人は心臓が悪く心配だが、一緒に下降しようと誘ってみたものの、自分のペースで歩くとの了解があった。 平瀬になれば栃の葉橋に到着。 ここにも3人目の釣り人に会う。 年配の釣り人で、「10年前はよかった」と昔のイワナ釣り話をしてくれた。 「一尾とフキ、ミズナが収穫」老釣り師のけなげなイワナ談義に相槌を打つ。 ジムニーの駐車してある場所で待つ。 10分後に釣り人がやってきて、上流の我がマイカーまで同乗してすれた。 釣り人は鮎の愛好家で、鬼怒川と那珂川の年券を買って、鮎釣り三昧の夢があり、心臓があまりよくないので、休みながら鮎釣りをやるのだと、夢中で話す。 「尺鮎」を掛けた」鮎釣り話はたいくつしなかった。 私のマイカーまで25分。 本当にありがとうございました。 今市在住の人を見たら、敬服してしまいそうだ。 着替えをやっていたら、早朝の軽トラがやってきた。 今日、4人目の人。案の定、サンショウウオ漁を最源流でやったらしく、得意そうにサンショウウオを披露してくれた。 聞けば地元の土呂部の人で、40年前には馬坂沢でイワナ釣りをやったことがあると、イワナ昔話をしてくれた。 今日は華の金曜日、それなのに4人の人に出会った。 車道開設が入渓を安易にさせている。 今後、馬坂沢はどのような運命をたどるのであろうか。 イワナにとって、受難の今日この頃の日和なのだろう。 馬坂沢の源流から下部を望む。 オオイデ沢の奥二俣。 イワナを確認する。 下降すれば淵が出てくる。 同水量の二俣。 左がオオイデ沢。右がジャグチ沢。 3段12メートルのコビキノ滝。 コビキノ滝下部。 小滝が連なる。 本流のなかほどにある、3メートル滝。 シシウドをツキノワグマが食いちぎる。 開発されたとはいえ、奥山には野生動物たちの棲家になっている。 渓相は良好である。 土呂部在住の人がとった、サンショウウオ。
by yuyugaku-ueno
| 2008-06-27 15:08
| 渓流釣行記
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