植野稔の自然遊悠学 イワナだ! ヤマメだ! 山菜だ! きのこだ!!

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2008年 06月 25日

239 裏女峰の渓谷、その3野門沢

裏日光、最大の滝、120メートル、布引滝を求めて
女峰山(2464メートル)北面に直接、突き上げる渓谷が、野門沢だ。
裏女峰における、唐沢、三沢、深沢、野門沢のなかで、滝群に恵まれているイワナ沢で、特に裏日光における最大の落差を誇る、布引滝を従えた峡谷が、今日、遡行する野門沢である。
今回、イワナ釣り調査と渓谷遡行を兼ねた、一石二鳥の段取りで、昨日同様、裏女峰の遡行に挑戦する。
すでにイワナ釣りでの釣行は実施済み、しかし、今日の予定は、布引滝の写真を撮影することが目標である。
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観暴台からの、布引滝を遠望する。
あいにくの曇り空、滝上部が雲に隠れてしまった。
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本州最大の野性、ニホンツキノワグマ。
おそらく100キログラムをゆうにこえる、どっしりしているオスグマだ。
ツキノワグマと10分間ぐらい、その生態を観察できた。
私はオーラを出さずに歩いているので、野生動物たちも、安心して普段通りの餌探しをやっていた。
今日のクマは、盛んに生長している、草と渓流の中に入り込み、沢蟹探し、倒木の裏に隠れている、昆虫を食べていた。




朝焼け、今日いっぱいしか晴れ間は期待できない。
おそらく明日から下り坂、少々不安定な天気を気にしながら、自然遊悠学の自宅を出発する。
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源流の峡谷がうそのように、おだやかな野門沢出合い。
鬼怒川にある、野門橋の上部から、遡行開始。
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2段堰堤。
必ず当地の堰堤はこのようなスタイルが多い。
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堰堤上部にある、3メートル滝。
淵を覗いても、イワナはいない。
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3基の堰堤が連続する、最初の堰堤。
堰堤を施工する際、岩盤に基礎固めをする関係で、堰堤突破には大高巻きを余儀なくされる。
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15メートル滝。
右壁にトラロープ、アルミハシゴがあり、右壁を直登するのだろうか?
イワナ釣り師の奥山願望には敬服してしまう。
仮に、トラロープ事故になれば、命の保障はできない。
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巨岩の中を流れる、7メートル滝。
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大釜のある3メートル滝。
イワナがいそうだが、先が長いのでパスした。
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2段堰堤。
堰堤の出現にうんざりしてしまう。
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13滝入口。
この滝から、小滝帯の始まり。
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新堰堤にびっくりしてしまう。
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「名渓ここにあり」と素晴らしい13滝の渓谷風景を見事に破壊した、新しい堰堤の負の遺産。
本当にこんな奥地に、堰堤を構築する必要があるのだろうか。
疑問は頂点に達してしまう。
かつての渓谷はもうない。
失望してしまうが、仕切りなおしのイワナを見て遡行にかかる。
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4段20メートル滝。
樹木、水流、岸壁の調和がとれている、美渓だ。
残念ながら、イワナ釣りはできない。
遡行に専念する。
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4段滝最上段に左岸から、水量豊富な帝釈沢が滝釜に出合う。
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こんな奥山にも自生している、天然ワサビの畑があった。
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15メートル滝が遡行の行く手を阻む。
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今日最初の毛鉤を15メートル、5メートルを越えた上部にあった、落ち込みに投入。
「出たイワナ」しかし早合わせ。毛鉤は空をきる。残念だ。
毛鉤釣りは終わり。
時間がないので先を急ぐ。
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巨岩帯になるとイワナの魚影は消えた。
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急勾配で競り上がる上流に、布引滝の上半身が見えた。
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布引滝を守るかのごとく、滝の前衛に立ちはだかる、15メートル滝。
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振り返れば、野門沢峡谷が山々を従わせて、幾重にも重なり、一枚の名画を垣間見る思いに馳せた。
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1段目40メートル、2段目50メートル、3段目30メートル。合計120メートルの布引滝。
上空にイワツバメが舞い、右壁に野門右俣沢が多段滝で落下、いずれも落下高度があって、水煙を上げた見事な滝との出会いに満足した。
この場に立っている自分自身の幸せ感がこみ上げ、背筋に震えがきた瞬間で、遡行者だけがあじわうことのできる、自然との渓谷風景観に喜びが再びやってきた。
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ハクサンコザクラ。
こんなところに自生していた。
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夏を告げる、ウマバチソウ。
霧に包まれるから、布引滝周辺に自生地ができたのだろう。
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野門沢原生林。
コケの付着している樹林の見事さには驚きを隠せない。
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ニホンツキノワグマ。
黒光りしたメタリック調の毛並みは野性の証だ。
しばらくクマとの交情をやってみた。

遡行を終えて
迫力満点の野門沢は久しぶりで面白かった。
イワナ釣りはできなかったが、予定通り、布引滝を写真に収めることができた。
次回はイワナを釣りながら、野門沢を遡ってみたい。

参考文献
日本登山体系
3巻か4巻に野門沢遡行記録を参照する。
鹿沼山岳会編

参考コースタイム
野門沢出合から布引滝までの遡行時間、6時間。
沢の下降には5時間。
いずれも沢遡行のみの時間で、釣りをしながらでは布引滝には日帰りでは届かない。
尚、野門沢遡行は上級者向きの沢登りになる。
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by yuyugaku-ueno | 2008-06-25 18:55 | 渓流釣行記


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