2008年 03月 12日

113 両毛沿線の渓々

両毛沿線の渓々

両毛沿線の渓々とは足利市、栃木市を貫通するローカル線の中にあり、のどかな田園地帯を流れる渡良瀬川南部流域の渓流のことである。
 前日光高原である鳴虫山、夕日岳、横根山、氷室山、根本山から流出する渓流群は入渓へのアプローチが簡単で、山々が1000m前後であるから渓はおだやかそのもの、初春から水温が程良く保っているせいか活発に渓魚がざわめいている。
 一度、山へ目を向けてみれば、日光を開山した勝道上人修行の地、古峰神社が健在で参拝者は多く、霊山として世に知られている。



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前日光最北端にある黒川、水源の山、鳴虫山1104mを挟んで東沢と西沢に分かれている。ヤマメの釣り場は山口にある通称「天善教」からで、車道が川から離れ、大淵が連続する中にヤマメが泳いでいる。このポイントは桜の咲く4月中旬までで、以降は水温の上昇で分が悪くなる。
 
東沢
 日光へ抜ける県道14号沿いに小来川温泉があり、入渓は安易だ。源流へ行くほど平瀬となり、上流は漁協も見放した三面コンクリートと堰堤群。支流の天然ヤマメは杉林の造林で姿を消した。

西沢
 不動明王を祭る大滝までハヤ混じりのヤマメ域。二又以遠のヤマメは堰堤群の構築で魚影がない。支流の「天然イワナは消滅した」と二又下にある古民家の老人は寂しげに語ってくれた。


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両毛の渓々の中で最大級の川が大芦川である。近年、ダム建立の真っ只中にあり、その処遇に世間の感心が集まっている。

大芦川本流
 大芦川本流のヤマメ釣り場は古関上にある天王橋から始まる。落合にあたる一の鳥居まで、延々と平瀬続きだが、春先にかけては漁協のヤマメ放流で釣り人には人気の本流域である。

東沢
 オールドファンにとって、イワナを求めて夕日岳直下まで遡行し、源流へのアタックを可能にさせてくれた釣り場が「イワナの大芦川」と昔から有名な岩魚場であった。
東沢の釣り場として川中島上手にある鍋淵、日光沢下流にある大滝の2カ所は大型ヤマメのポイントだ。大滝までヤマメの放流があるから魚影はある。
 源流にある「大芦ヒュッテ」(無人の山小屋)付近はイワナ場。ヒノキガタアミ沢と本沢の魚止まで、天然のイワナが棲息。有力支流、蕗平沢は昔日の面影を残す唯一の渓流。F1からF5までいつきのイワナがいる。

西沢
 地蔵沢、足尾沢、西沢中流の右岸支流群のすべてが禁漁区域となり、イワナの釣り場は事実上無くなった。放流のヤマメは西沢筋にいるものの、イワナを追いながらヤマメを釣り、帰りは古峰神社で神妙になる。こんな風変わり釣行が不可能になったのは残念だ。余談であるが、足尾沢にはサクラマスの系統ヤマメがいて、しばし竿を満月に絞ってくれたものだが、大堰堤の出現で魚影が絶えた。



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荒井川
 大芦川と栗野川に挟まれながらも、小渓流の良さを残した安定した流れがある荒井川。馬返から中ほどにある石裂山加蘇山神社まで意外とヤマメがいる。ハヤ混じりだが、大滝まで全流域ヤマメの釣り場。また、この川は増水でも濁りにくいので、大芦川、粕尾川での釣行不能の際に釣行可能で、こんな場合に利用できる。



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栗野源流のイワナ
昔といっても今から40年前、井戸湿原には水があって、イワナがいた。魚は水切れ(瀬切れ区域)下にも川があって、地下にも渓魚棲息。多段滝をもクリアーして太郎治ノ滝の魚たちとの往来があった。今となっては夢のような物語である。当然、現在の井戸湿原の水は黒い横根山一帯の森林が伐採されてしまい、湿原の保水能力が低下し、いつのまにか水が干し上がり、そこに棲んでいたイワナは消え滅びた。



栗野川のヤマメは石裂神社下流からスタートする。下五月の集落を経て、小川沢上手のゴルジュ、不動滝、太郎治ノ滝と高度を上げながらダイナミックな渓相が連なる。
源流にイワナがいるが、前日光幹線林道の開通で魚は減った。加えて上流にある鉱山開発で水質が悪くなった。



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「ヤマメの粕毛」と呼ばれ、漁協による放流が盛んな中渓流。ヤマメは遠木からだが上流の半縄からが良かろう。発光路から巨岩のゴーロ帯で、石まわりにヤマメがついている。
木浦沢以遠はヤマメとイワナの混生域だったが、いつの間にかイワナはいなくなり、放流ヤマメが上部の堰堤までいる。
支流の北村川は北村橋までヤマメ、奥はイワナだったが魚影は薄い。上流に有力支流鬼ノ沢がある。この沢は最終堰堤までヤマメ、以遠は天然イワナがいる。中流部はところどころゴルジュに滝があり、渓相も良好で、ヤマメの中型もいる好釣り場だ。




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永野川
地元で白川渓谷と名付けられた小渓流が永野川である。
ヤマメは百川アヤメ園がある尾出山神社から上部、魚止の釜ヶ淵まで約6kmが釣り場だ。魚影は極端に少ないものの、天然ヤマメがいるのが魅力。
残念ながら、釜ヶ淵上部に棲息していたイワナは今はいない。ヤマメ釣りは一里(4km)一尾と昔ながらの渓流がここにはある。
支流の寺沢も小ヤマメがいるが釣行の対象にはならない。
本流も支流も大方、杉林で暗い。しかしながら渓流にはポイントがほとんどなく、漁協から釣り人までも見放された渓だからこそ、天然のヤマメは細々と棲息していることがこの渓流では教えてくれる。



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秋山川
葛生町営バス停「渡戸」下、秋山橋でハヤ混じりのヤマメ場がある。
ザゼンソウ自生地から足倉沢にかけてまでの本流は平凡そのものの渓相で、平瀬中心のヤマメ釣りできるが、田園風景の中、のんびり釣行が可能だ。
ミズナラの根元に山の神のある本流筋がこの川最大のポイントである。
大滝上流は禁漁区に指定。奥にイワナがいるものの、魚止までのイワナ釣行は今のところできない。



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野上川
大戸からの野上川は二手に分かれる。
作並、上大戸にある小さな集落のあるのが本流にあたる大戸沢。上流部は滝が連続する核心部にイワナが少ないながら棲息している。
支流の小戸沢は、ヤマメがわずかにいる程度の川で、釣行の目的と外れた渓になってしまった。


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彦間川
漁協の放流が少ない、ヤマメの天然魚のいる川がわずかに残されている。それが町屋上流の二俣に棲息するヤマメである。
ヤマメは小型ながら、魚紋は美形そのもので、特に大きなパールマークを残す魚体に満足するだろう。魚止滝以遠にも魚影があって、魚どまりという魚影の限界地を教えてくれる川だ。


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桐生川
桐生市の渓流における奥座敷といって良い川が桐生川だ。それは川の堰堤が程良く渓相を保っているからで、両毛沿線の渓々の中では河川工事が少なく、昔ながらの淵、落ち込みがところどころ見られることによる。
馬立からヤマメはいる。小渓流ながらも蛇留淵の大場所には魚影があって、点々とある民家、茶畑、かつて盛んであった炭焼きでの炭集合所、天満宮、春先の梅、オールドファンにとっては懐かしい山村風景の中を釣行できる。ヤマメは小型ながら、赤い橋上部の二俣にかけては車道が川から離れ、曲流しながら流下する様はベストポイントだ。
上流の二俣右は滝までヤマメ、上はイワナ。左の沢は魚止まで魚影があり、小型魚なので大切に育てたい。源流はこの谷に限らず、イワナウォッチングを釣り人の皆様にお願いしたい。


■『植野稔のホームページ』をどうぞ。


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by yuyugaku-ueno | 2008-03-12 15:30


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