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植野稔の自然遊悠学 イワナだ! ヤマメだ! 山菜だ! きのこだ!!

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2008年 03月 02日

64 フキのとう

 早春の山菜
七草おかゆ神事も終わり、寒い北風のあいまにやってくる暖かい日にあわせ、山里の陽だまりに早い春を告げる山菜が芽吹く。
 雪に閉ざされ続いている山国の人々が動き始める、雪囲い外しの合間に山菜採集は開始される。

 フキのとう<キク科>


フキのとうのあらすじ 
 北国に春を告げる、フキのとう。雪を掻き分け陽だまりで新しい芽を地上に持ち上げる、山菜元年宣告を伝える。香りと苦味が同居する待ちに待った春夜明けを実感できる。「山菜号、出発進行」こんな気分で初もの山菜を求めて、今日も山を歩く。

分布    
 日本全国。
 ※アキタフキを含む。

方言あるいは愛称   
 バッケ。バッケエ。

生育地    
 雪解けを待ちわびるように日溜りに芽をだす。

特徴と鑑定    
 雄株には雄花、雌株には雌花が咲く、キク科の植物。その花の蕾をフキのとう
と呼んでいる。

薬用効果  
 咳止め、痰(たん)切りを防ぐ。葉、蕾を陰干し、煎じて、食前に飲む。

採集期間  
 2~4月。

利用部位  
 蕾、生長した茎。

採り方   
 蕾の開いてないフキのとうの根元から、ねじり採る。花茎は根元から折り採る。

下ごしらえ 
 蕾の外皮をむきとり、軽く水洗い、水切り。
64    フキのとう_d0134473_19532695.jpg


料理 
 山里から生まれたフキのとうの新鮮な香り、ほろ苦さを楽しむ。

フキのとう姿揚げ
 1 大きいフキのとうは半分に切り、小はそのまま使う。
 2 花の蕾の皮を花が咲いたように、手で開く。
 3 薄衣で揚げる。
 ※苦味が嫌いな人には花芽を外してから、揚げる。

茎の葉のかきあげ
 1 茎から葉をむしりとる。
 2  薄衣で揚げる。

フキのとう味噌和え
 1 摘んできた新鮮なフキのとうを手でちぎる。
 2 1を味噌、酒、砂糖で和える。

特選お勧め、フキのとう味噌練り煮
 1 フキのとうを手でちぎる。
 2 鍋に味噌、酒を合わせ、火にかけて1を加える。
 3 2を練りこみながら、軽く煮る。

茎の葉の佃煮
 1 葉を手でちぎり、熱湯で軽く茹で揚げ、冷水に入れ、水切り。
 2 鍋に出汁、醤油、みりんを入れて、弱火にかける。
 3 2に1を加えて、煮る。

フキのとう姿煮
 葉の佃煮と同じ。

茎のあっさり煮
 1 鍋に熱湯を沸かし、茎を入れ、ひとつまみの塩を加えてアク抜き。 
 2 1が冷めたら皮をむく。
 3 2を水洗い。4センチぐらいに切る。
 4 鍋に出汁、醤油、みりんを入れ、3を加えて火にかける。
 5 軽めに煮る。
 6 器に盛りつけ、好みで七味唐辛子をふりかける。
  ※薬味として刻んで味噌汁、ラーメンの隠し味に使う。

孤軍奮闘記
 気の早い雪国の山菜愛好家たちのあいだで、雪かき採取という方法で手に入れるフキのとうは早春を告げる、山からの最初の贈り物である。
 口に入れるとフキのとうの新鮮な香り、ほろ苦い味が伝わり、今年も元気に山入りができる喜びを感じてしまう。


■『植野稔のホームページ』をどうぞ。

by yuyugaku-ueno | 2008-03-02 14:40 | 山菜図鑑


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