2008年 03月 01日
きのこ狩り先手必勝 山地に自生する優良きのこの採集から料理 ここで採る、きのこ鑑定、下ごしらえ、一品料理 ■ナラタケのあらすじ 木材を腐朽させる森の掃除の役割を担っている。豊作年に当たれば珍しい、地面からナラタケが発生する、菌流れがみられる。 きのこ狩りの対象としては一般的、まぎらわしい毒きのこもなく安心して採集できる。また収穫量も多い。 問題のナラタケ料理、ぬめり、歯ごたえ、旨みを持っている。加えてどのような料理にも対応できる、万能きのこである。 ■地方名あるいは愛称 ヤマドリキノコ。ナラブサ。ナラモタシ。サワモタシ。サモタシ。オリミキ。ボリボリ。ヤタラモタシ。モタセ。ツバオリメキ。 ■発生時期 6月、9~10月の2回発生。不作年は秋1回。 ■自生地 広葉樹、針葉樹の倒木、立木に群生あるいは束生し、着生。樹種は選ばず、あらゆる樹木にでる。繁殖が活発になると、菌が流れて土からも発生する。 ■菌類名 木材腐朽菌。 ■特徴、鑑定法 傘の径5~10㎝。傘の色は淡褐色。中央にかけて色の濃い鱗片をつける。 傘は丸山形、老菌になると扁平に湾曲。傘の周辺には条線。(筋条の線)湿ると、弱い粘性がある。傘肉質は白。 ヒダは密で柄に直生あるいは垂生し、色は白。老菌になると黒褐色になる。 茎は幼菌では下部がやや膨らむ。生長途中で茎にツバができる。茎の長さ4~8㎝、太さ5~10mm。成菌は繊維質の中空、老菌になると茎は白色黒褐色に変化する。 現在、ナラタケはオニナラタケ、クロゲナラタケなど6種ぐらいに分割された。 ■胞子紋 白。 ■採り方 1 株ごとに採集。湿るときのこ同士が貼り付いてしまう。新聞などで小分けし持ち帰る。 2 発見したナラタケが大量の場合、傘と茎の食べられる部分だけ採集する。 ■下ごしらえ 1 黒くなっている石づきをハサミで切り落とす。 2 軽く、水洗い。こうすると、きのこに水分が含まれナラタケは壊れにくくなる 3 きのこをザルに入れて広げ、水切り。 ■保存方法 1 熱湯で軽く茹で上げ冷ます。ナラタケを小分け、ビニール袋に入れ、茹で汁も加えて冷凍保存。 2 下ごしらえしたナラタケを酒煮して、冷凍保存。 3 ナラタケを煮つけして、冷凍保存。 4 熱湯で軽く茹で上げ、冷まし、塩漬け。茹で汁を最後に注ぐ。 5 ナラタケを天日で干し上げ、乾燥保存。 ※ それぞれ荷札に作業月日を記入する。 ■先ナラタケ料理 正式名のほかに、各地で様々な愛称で呼ばれ親しみやすいことから、ナラタケは古くから山の幸として利用し食べられてきた、きのこの代表といえる。 食用になるのは若い成長期のきのこを使う。また、本種は調理すると、きのこが黒くなる欠点がある。しかし、歯切れよい感触、ほのかに伝わる甘い香り、ぬめり、舌ざわり、良好な出汁がでることから短所を補って余りある、どんな料理にも使える万人に好まれている優等生きのこだ。 但し、ヒダ、柄が黒ずんでいる老菌は繊維質の劣化による、雑菌繁殖していて消化不良の原因になるから、採集のときには収穫しないことが大切である。 ■特選お勧め、大根おろし和え ナラタケ味を楽しめる。 1 鍋に水を入れ沸騰させる。 2 下ごしらえしたナラタケを熱湯に静かに入れ、軽く混ぜる。 3 再沸騰したら、火を止める。 4 3をザルにあ上げて水切り。 5 4をボウルに入れ、醤油をかけて下味をつける。 6 水切りした大根おろしのなかに、5のきのこをいれて和える。 7 器に6を盛りつけ、糸かつお節を天盛り。 ※茹で上げた、ナラタケ汁は味噌汁の出汁に使える。 ■バター炒め 淡白なナラタケにバターを加えて、味をまろやかにする。 1 下ごしらえしきのこを軽く湯通し、水切り、ナラテケを使う。 2 フライパンを火にかけ、バターを入れる。 3 バターが溶けたらきのこを加え、塩、コショウで調理する。 4 器に3を盛りつけ、みじん切りしたパセリを振りかける。 ※1を少略しても良い。 ■佃煮 ナラタケの保存食になり、後日ナラタケご飯に使える。 1 鍋に下ごしらえした、きのこを入れ火にかける。 2 酒を1に加える。 3 2が煮え始めたら、砂糖、醤油を入れて弱火で煮込む。 4 煮汁が半量になったら、1日目は終了。 5 2日目、4に水を加え、弱火でゆっくり煮込む。 6 5の煮汁が少なくなったら仕上げに、みりんを加え煮汁がなくなるまで煮る。 7 器に6を盛りつけ、糸かつお節を天盛り。 ※3~4回、煮込みを繰り返せば、味に深みが増す(好みで行う)。 ■卵とじ シンプルなきのこに卵の旨みを加えて、賞味する。 1 中華鍋を火にかけ、サラダ油を入れる。 2 1に下ごしらえしたきのこを入れ、強火で炒め、塩、醤油で調理。割りほぐした卵を回し入れ、火を止める。 3 器に2を盛りつけ、薄切りミョウガを天盛り。 ■味噌汁 味噌の風味、きのこの出汁を合わせた味覚を楽しむ。 1 鍋に水を入れ弱火にかけ、きのこを加える。 2 きのこ出汁を確認し、味噌を溶いて味を整える。 3 器に2を盛りつけ、白髪ネギを天盛り。 ■きのこ鍋・野菜炒め ナラタケはクセがなく万能きのこなので、きのこ同士の合わせができるから、各種の料理のきのこ具として利用できる。 ■料理ナラタケの冷凍保存 大根おろし和えレシピを参照し、1、2、3、4、を作り茹で汁が冷めたら漉し器で漉し、二重にしたビニールのなかに汁を注ぎ、4人前単位にきのこを分け入れ、口元を結び、板状に冷凍保存する。料理するときには冷凍のまま調理する。 ■孤軍奮闘記 秋田県に森吉山という山がある。鳥ヤ・天然記念物クマゲラ営巣地、沢ヤ・小又峡、山ヤ・森吉山、釣ヤ・小又川、遊びヤ・高原牧場など。趣味人には応えきれないフィ-ルドを森吉山は提供してくれる。 きのこマニアにもかけがえのない最高の位置にある。それは、かつての林野庁秋田営林局の縄張りに森吉山が含まれ、当地は秋田天然スギの山地でもあり、小又峡奥に天然記念物、桃洞杉を有する。然るに、森吉山全域を択伐、彼らは合法的にブナ、ミズナラ、スギなどを伐採できる。このようにして山地はトラ刈リ状態。そこへ時速100mの強烈台風が襲い、人為的自然破壊と天災が合わさり、きのこ菌、得に木材腐朽菌へ大きなプレゼントを与え、最大規模の“きのこ場”が完成。落成式典への招待状が届かなくても、様々な○○ヤを多数持つ小生らしさを発揮、なにはさておき秋の森吉山へ馳せ参じた次第である。 「ウーム」「ハァー」。喜びと悲しみを同時に秘め、きのこ山へ出発。 「ナンダ!!」30分ぐらい歩いたところに、ナラタケが群生しているではないか? よくみると、あちこちにナラタケの花が満開。まさに大豊作、辺りが平地なので付近一面の倒木はもとより、地面にもナラタケ菌がながれ、まるで“きのこ山”だ。こんな光景は新潟県、三面から小松沢への山越えルートでみて以来、二度目の経験。今回はそれを上まわる見事なナラタケ畑に感激。 都合三日間ナラタケを取り捲り、あちこちに宅配する。 何時の間にか、きのこの匂いを嗅ぎつけ、地元のきのこヤがやって来ていた。良く見ると、小生が採り残した幼菌、老菌を一本も残さず採集しているではないか。こうしてナラタケ山は発生5日目で元のハゲ山になる。 それからのナラタケ山の行方は知らない。 ■『植野稔のホームページ』をどうぞ。
by yuyugaku-ueno
| 2008-03-01 11:56
| きのこ図鑑
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