2008年 02月 14日
ロッド、仕掛け、エサの選択は万全。いよいよ渓流の釣り方を学ぶことに入る。 ■竿と仕掛けと釣技のバランス 渓流釣り入門 3、竿に示した渓流竿、全長7.1mと決断した理由は、初心者からベテラン釣り師のロッド使用限界を7m.前後と決めたからだ。確かに8、9、10mの長竿の渓魚に対する有利さは当然、正解となる。 しかし、長竿になれば、竿のコントロール“竿捌き”は長さに対して二乗に比例して難しくなる。例えば、5m.竿と10m.竿の竿捌きは、長竿では4倍の技術を要することになる。 私も釣欲は人一倍あり、今の釣技では7m.が限界、それ以上は希望しても無理。例え釣り込んでも現在の竿技術で長竿を使う資格はなかろう。 次なる問題は仕掛けの長さだ。 渓流釣り入門 4、仕掛けの解説通り、短、中、長の3法のなかから、迷うことなく初心者は短仕掛けからスタートすべきだ。仕掛けの長さは竿の長さ同様、長くなれば仕掛け操作を完璧にこなす方法は困難になる。 釣暦50年余、私であっても2008年から釣り原点の戻り、初心者と同じ短仕掛けで再スタート、これまでの釣行実績など何も役に立たない。 どうにかこうにか竿、仕掛けは決まった。これから渓流に向かう。 ■釣り場まで 都心から市街地へ安全第一でマイカードライブ。注意したいのは目的地までのスピード。なるべく制限速度プラス10kmに押さえる。現地までの土地勘がないので、警察のスピード取り締まり“ネズミ捕り”に引っかかってしまうことがある。さすれば、せっかくとった休日は台無し。不愉快な釣行になるからだ。 また、意外な盲点は、追い越し禁止取り締まり、やつら(警察関係者)は隠れて網を張っているから油断できない。私も、しばし苦い経験がある。ここは、はやる気持ちをこらえるしかない。 遠くに見えた山岳部が間近かに迫る。いつしか河川は大岩を縫うように流れている。車道は所々狭まり対面交通、対向車に注意しながら目標地へ。 大川沿いの車道を辿り、マイカーは林野庁管轄の林道(車道)を走る。渓流の段差ある釣り場に到着。ここで注意してもらいたい。林道は一般車道と違い、原則としてマイカー乗り入れは禁止され、入り口に遮断機がある。仮に林道開放された状態でも、ゲート施錠されてしまうことがある。 問題はまだある。マイカーの駐車場。都会のようにペンキで記された駐車スペースはない。駐車する際、広い空き地を利用しマイカーを置く。必ず、帰路方向に車を回転する。こんな駐車マナーを自然派志向アウトドアマンにお願いする。 ■フィシュオン 大川から本流、さらに林道沿いの沢が今回の釣り場だ。一目見たとき、いかにも渓魚のいそうな大淵、落ち込みの大場所は初心者には向かない。確かに魚はいる。けれども、最良ポイントは先輩釣り人、あるいは先行者入渓による場荒れしていることがあり、初心者には推薦できない。大場所の釣りは経験を積んでから挑戦しよう。 ■下流から上流へ イワナ、ヤマメを釣るとき、必ず下流部から遡行する。渓魚の習性で定位した魚は上流部を向きエサを待ち構えているからだ。仮に上流に釣り人が立てば、警戒心の強い魚は定位を外し、逃げてしまう。 ■ポイントを前にして まず渓流を観察する。落ち込みのポイントに木の枝がせりだし、水中には流木が引っかかっていて、攻めにくい。 精神を安定させ、第一投。振り込んだ瞬間、枝に仕掛けが絡まる。やむを得ず渓流に入り仕掛けを外すが、何重にも絡まった仕掛けは解けなく切断。生まれて初めての釣りでは自分で考えた以上に、仕掛け捌きは難しい。 第二ポイントは前回の反省教訓をいかし、樹木の枝のない淵。静かに接近したつもりだったが、振り込んだとき淵尻にいた魚は上部へ矢のような勢いで逃げ去る。それでも魚のいた嬉しさで、念入りに淵にエサを流す。しかし、アタリはない。 午前11時。お日様はすでに頭上に輝き、持参のおにぎりを食べる。さすがは渓流、新鮮な空気で気分は良い。渓魚の魚篭いれはなく空、残念だ。 ■上流へ移動、ラストチャンス 投餌法を考える 根がかり、枝がかり、渓魚の追い込み逃がしなど、初心者の初釣行は仕掛け付け替え、仕掛け外しに釣行時間の大半を費やしてしまう。その対策として、今回失敗したポイントの接近法を改めてみる。 渓魚が逃げた原因克服 1 いきなり振り込むことなく、淵、落ち込みの最下流の“ひらき”を最初に狙う。 2 なるべく遠くから仕掛けを投入、渓魚に気づかれないようにする。 根がかりを防ぐ 1 オモリを軽くする。 2 底石を避ける竿捌きをする。(底石に仕掛けが当たる前に、竿を上げる) 枝がかりを防ぐ 1 仕掛けの振込みを止め、障害物の上まで仕掛けを持っていき、エサを落とす。 ■魚止めを釣る いったん林道に上がり、上流にある魚止めを目指し歩く。 「渓魚の遡上止め」これが魚止め。本日の最後は魚の集まる魚止めを狙う。しかし、魚止めに先行者が竿をだしているではないか。せっかく魚止め直行したのに、無駄になった。残念だけれども釣行を断念、結局、初出漁の釣果はゼロ、いわゆる坊主を食らってしまった。 ■一歩前進、長仕掛けで釣る 長仕掛けを使う理由 1 竿の性能を引き出す 「手元まで伸びた長仕掛けを使用する」このとき、適応ハリス内でロッドは最高性能を発揮する。これが竿メーカーの主張である。つまり、短仕掛けあるいは中仕掛けは竿捌きの安易さはあるが、竿メーカーでは邪道な使用ということになる。 渓流入門者にお勧めの使いやすい短仕掛けではあるが、釣行を重ね多種の釣り場探訪で、いささかの仕掛けにおける疑問を生じたら、迷うことなく仕掛けの改良に取り組むべきだ。 2 八久和川を長仕掛けで釣る 竿… 琥珀本流 硬調 6.1m 糸… 0.6号通し長仕掛け ハリ… ヤマメ細地8号 オモリ…ガン玉3B 目印… ナイロン目印3ヶ所 エサ… カワゲラ 対象魚…40cmイワナ 場所… 八久和川下流 実釣記 川幅15m、雪シロの収まりかけた6月、八久和川本流に立つ。すでに数人の八久和詣での入渓者を予想し、今回の狙いは一つ、この時期、徒渉できない杣道対岸の緩い流れをポイントに定めた。 幸い用意した、竿いっぱいの長仕掛け、長竿を使うことで本流釣りを克服するつもりだ。 竿のしなり、仕掛けの重さを利用し、第一投。エサは計算通り狙ったポイントに着水、ややロッドを送り込む竿捌きを与える。すかさず、流速と同じ竿送り、こんな一連の竿操作で、大イワナの潜んでいる定位場所に、鬼チョロを誘導する。 上流に投じた仕掛けは、直径30㎝ぐらいしかないスタンスと正面に来たとき、3ヶ所のやや弓形した仕掛け垂直に並ぶ。敏感なロッドに何にも変化はない。けれども、水中下でイワナは鬼チョロに食いついている。すかさず、合わせ。ハリ、仕掛け、穂先からロッドを握る手に、重い感触が伝わる。 「動かない」大イワナ独特のアタリだ。ロッドは上げたまま、しばらくの間をおいて、イワナの潜水が始まる。竿は手元から曲がり大イワナの引き込みに、しなりで魚パワーを吸収している。 「キーン、キーン」と金属音を響かせる仕掛けの水きり音。大イワナは仕掛けを外すため、緩い流れを離れようと雪シロの入った本流筋(本流の主流な流れをいう)に移動したがっている。本流筋に持っていかれたら、仕掛け切れは避けられない。やむを得ず、ロッドを対岸へおくる竿捌きで対処。ここは大イワナのスタミナを軽減するしか方法はない。 竿の送り込み、ため、しなりと続く連続動作で大イワナのパワーを吸収カバーする。この間、じっと我慢、イワナの弱るのを待つ。 「さすがは本流の主」強力と噂通り、激流雪シロで鍛えた八久和イワナも、ロッドのしなり、ロッドの反発力で次第に引き込みは衰え、八久和の潜水艦はその磨かれた魚体を水面に浮上させた。 ■『植野稔のホームページ』をどうぞ。
by yuyugaku-ueno
| 2008-02-14 06:55
| 渓流釣り入門
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