2011年 07月 03日

1540 ドキュメント小説

岩魚聖と美奈子物語

第1章岩魚聖誕生
 父母
 都会上空へ轟音を発しながら、編隊組んで押し寄せるB29。雨嵐のように無差別砲弾は落下する。
 東京大空襲だ。
 あちらこちらで火災の手は起こり、周辺は火の海。逃げ惑う老若男女に火は移り、燃えながら人は死んでいく。
 防空壕に逃げ込んだ、勝、靜夫妻の手早い避難は功を奏し、また命を繋いだ。
 本来なら男盛りの勝に召集令状は届くのだが、腰痛持病診断の理由で兵役をまぬかれる。
 勝は数奇な運命があり、ここにいた。
 幽界島出身である勝、腕の良い棟梁である。島人口1356人、大東亜戦争勃発と同時に、大工仲間は兵隊さんとなる。
島に残る40台男衆は勝以外、数人しかいない。
 腕の良い棟梁の酒好きは島内一、毎日浴びるように飲酒する、勝の本性がかくされていた。もうひとつ「島に一軒しかない居酒屋におけるモテモテぶり」それは勝の鼻筋高い外国人風好男子であったからだ。
 昭和18年末、幽界島全島民疎開命令が大本営から発せられ、第1次、第2次、第3次疎開船就航準備は整い、やがて全島米軍と日本軍の最後の決戦場となる。
 幸い、勝、静夫妻と長男、長女、次男、次女6名家族の第1回疎開船搭乗抽選は当たり、都会疎開はできた強運の持ち主だった、以降、2回、3回の疎開船は通信設備世界一、米海軍潜水艦に渡航情報を無線傍受され、疎開船は魚雷攻撃で沈没、全員命をなくした。
強運な勝に対して、静の血統は海筋。327名からなる幽界島漁業の組合長を代々勤める静の父、身長158センチ小柄な滝沢は島民漁師仲間から一歩先んじていた漁腕前。滝沢単独一艘での鯛1本釣り、磯エビ漁、船団集結する長を担う鯨漁ではピカイチ陣頭指揮、内地産業を支え、庶民食料事情を支える。
滝沢家の一人娘として静は親の愛情を一手に引き入れ、可憐な美貌を与えられた島姫として育てられる。
幽界島列島という大小七島からなる幽界島。珊瑚礁隆起による島誕生歴史があり、コバルトブルーに囲まれた幽界島最大「大島」に勝。「幸島」に静は育ち、それぞれの島を代表する両家との婚姻は幽界島総出宴会を3日間続行される、お祭り祝杯になる。
婚礼から20年余、大本営発令「産めよ殖やせよ」作戦影響に伴い、勝と静夫妻には4名の子供を授かる。その最中、都会疎開生活は実施された。
つづく
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by yuyugaku-ueno | 2011-07-03 21:12 | 身辺雑記


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